「『先祖の話・柳田国男』は終戦直後、日本人のアイデンティティの喪失に 深い不安を感じた柳田にとって「日本人のアイデンティ ティーは先祖崇拝であった。先祖崇拝を失ったら、もう日本人は日本人でなくなる、という警告としてこの本は書かれたのである。」(梅原猛「 あの世と日本人 浄土思想の諸相」)。
(注、「先祖の話」「古人は太平の変化少なき世に住んで、子孫が自分の先祖に対するのと同一の感じを以て,慕ひ懐かしみ迎へ祭るものと信ずることができた。・・日本のこうして数千年の間、繁り栄えてきた根本の理由には、家の構造の確固であったといふことも主要なる一つと認められておる。さうしてその大切な基礎が信仰であったといふことを私などは考えているのである。」「魂の行くへ」「この島々にのみ(日本にのみ)死んでも死んでも同じ国土を離れず、しかも故郷の山の高みから永く子孫の生業を見守り、その繁栄と勤勉とを顧慮して居るものと考へ出したことはいつの世の文化の所産であるかは知らず、限りもなくなつかしいことである。」
(注、「先祖の話」「古人は太平の変化少なき世に住んで、子孫が自分の先祖に対するのと同一の感じを以て,慕ひ懐かしみ迎へ祭るものと信ずることができた。・・日本のこうして数千年の間、繁り栄えてきた根本の理由には、家の構造の確固であったといふことも主要なる一つと認められておる。さうしてその大切な基礎が信仰であったといふことを私などは考えているのである。」「魂の行くへ」「この島々にのみ(日本にのみ)死んでも死んでも同じ国土を離れず、しかも故郷の山の高みから永く子孫の生業を見守り、その繁栄と勤勉とを顧慮して居るものと考へ出したことはいつの世の文化の所産であるかは知らず、限りもなくなつかしいことである。」