「唯識のすすめー仏教の深層心理(岡野守也)」でも空と集合的無意識を取り上げています。
「・・・さらにユングでは集合的無意識のレベルまで含んだ無意識と意識の統合による自己実現・個性化が目指されていますが、これはつながり・かかわりを他者や民族といったレベルまで深め、広げていく視点だとみることができますから、有る意味では宇宙意識のレベルに達しているといっていいでしょう。さらに「空」のレベルにも近ずいていると思います。・・
しかしやはりふつうにいう自我よりははるかに広く深いレベルではあるにしても、ある種他との分離性が残った自己のところまでといっていいと思います。・・・
「空」は決して仏教の教義を信じている人にだけ通用するような思想・イデオロギーではありません。・・・普遍的事実を非常に的確に自覚認識して言葉にしたものが「空」の思想です。・・・
教えられて、しかし自分自身の目でみると心自体、世界とつながって一つであり、心の奥底にはその事実に目覚めることのできるレベル・領域がある。あるいは「空」そのものと一つであるといえるようなレベル・領域がある。それは実に納得できる、何の不思議もないことだと実感するのです。・・」
(我々に「個」としての意識がある以上、様々な逆境は避けられません。逆に「個」の意識をなくする(薄める)ことしか逆境から逃れる道はないということでもありましょう。個の意識を色濃くもったままでそれぞれの「個」すべてを同一の幸福な状態に置けということはどうみても不可能だからです。般若心経は「照見五蘊皆空、度一切苦厄」と結論を言っています。「個」を卒業して「集合的無意識(仏)」に合体するしか本当に苦を逃れる道はないということでしょう。しかし我々は「個」を卒業できません。ここに苦しさが残るのです。)
「・・・さらにユングでは集合的無意識のレベルまで含んだ無意識と意識の統合による自己実現・個性化が目指されていますが、これはつながり・かかわりを他者や民族といったレベルまで深め、広げていく視点だとみることができますから、有る意味では宇宙意識のレベルに達しているといっていいでしょう。さらに「空」のレベルにも近ずいていると思います。・・
しかしやはりふつうにいう自我よりははるかに広く深いレベルではあるにしても、ある種他との分離性が残った自己のところまでといっていいと思います。・・・
「空」は決して仏教の教義を信じている人にだけ通用するような思想・イデオロギーではありません。・・・普遍的事実を非常に的確に自覚認識して言葉にしたものが「空」の思想です。・・・
教えられて、しかし自分自身の目でみると心自体、世界とつながって一つであり、心の奥底にはその事実に目覚めることのできるレベル・領域がある。あるいは「空」そのものと一つであるといえるようなレベル・領域がある。それは実に納得できる、何の不思議もないことだと実感するのです。・・」
(我々に「個」としての意識がある以上、様々な逆境は避けられません。逆に「個」の意識をなくする(薄める)ことしか逆境から逃れる道はないということでもありましょう。個の意識を色濃くもったままでそれぞれの「個」すべてを同一の幸福な状態に置けということはどうみても不可能だからです。般若心経は「照見五蘊皆空、度一切苦厄」と結論を言っています。「個」を卒業して「集合的無意識(仏)」に合体するしか本当に苦を逃れる道はないということでしょう。しかし我々は「個」を卒業できません。ここに苦しさが残るのです。)