中村久子という両手両足を壊疽で失った女性がいます、ヘレンケラーが来日したとき「私より不幸な人、私より偉大な人」といって抱きしめた人です。彼女は『歎異抄真髄(大須賀秀道)』を読み、信仰によって救われました中村久子『こころの手足』には、
「(福永鵞邦という熱烈な浄土真宗の書家にすすめられて大須賀秀道師の『歎異抄真髄』を読んで)そのお言葉はまさに旱天に慈雨。長い間土の中にうずめられていた一粒の小さい種子がようやく地上にそうっと出始めた思いがしました。そして幼い日に抱かれながら聞いた祖母の念仏の声が心の裡にはっきりと聞こえたのです。どれほど自分で考えてみたところで何ができよう。そうだ、お念仏をさせて頂きましょう。そして仏様にすべてはおまかせ申し上げよう。ようやく真実の道が細いながら見出せた思いがいたしました。(中村久子『こころの手足』) 」とあります。
この大須賀秀道師の『歎異抄真髄』からすこしずつとり出していきます。
「信仰は人生における絶対の怡安である。幸福の源泉である。一度この信仰を得れば歓喜深く胸にあふれ是までの煩悶も拭い去られ希望は永劫に輝きて嬉しさ春の如き楽天地がすなわち眼前に拓けてきます。
しかし「何がゆえに信仰が必要であるか?」「信仰は何の為に何の効果があるか?」という質問には私は一言も宣べませぬ。・・「効果」とか「必要」ということは信仰を求めるものの決して口にすべきことではないのみならず、苟もあらかじめ思うべきことでもありません。私どもはただ信ぜずにはいられぬものであります。信じまいと思うても今はどうしても信ぜずにはいられるのである。・・」
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