「日本巡礼記集成」の中のn尼の手記によると昭和55年5月、45番岩屋寺奥の院で小児麻痺により20年間動かなかった女性の手が行場へ登ろうとして鎖に手をかけた途端に動くようになったという話があります。「不思議はいまも新たなり」です。其処の所を抜粋しておきます。
「昭和55年5月12日、四国88所巡拝に(美代ちゃんという19歳の女性、小児まひで左腕が上に上がらず左足も不自由、が)お母さんと参加され3日目に45番岩屋寺に着きました。そしてセリ割禅定に美代ちゃんも上げようとして下から押したり、上から引っ張ったりしても、美代ちゃんの腕は上がらず、鎖も握れませんでした。それでもなおも下からと上からでひっぱいあげてやっと岩の頂上に着きました。一同よかったよかったと悦びあっていたとき、突然美代ちゃんが『先生手が動いた』というのです。『あっ』みんな驚いて美代ちゃんを見ました。するとあの2歳から変形し硬直して動かなかった左手の指五本のうち三本が動くようになっていて、さらに腕が上下に動いているのです。みんなただただ目を見張っているばかりです。やがて感動の涙と御寶号が皆の口から一斉にあふれ出ました。とりわけお母さんもとめどなく涙を流しつついつまでも『南無大師遍照金剛』を唱え続けました(日本巡礼記集成)」
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