畜生は今現に見る所の飛走鱗甲の類じゃ。その中にも。業の軽重ありて。此人間界にある畜生は苦楽相雑すと云。鐡囲山の間。黒暗の処。別に畜生界有て。此には純に苦を受ると云じゃ。上品の十悪は地獄界の極劇苦を成立し来る。中品の十悪は畜生噉害(だんがい)の苦を成立し来る。下品の十悪は餓鬼界飢渇の苦を成立する。慧目のなき者は佛語を信ぜよ。
此上中下品ということは自ら心を起すに就て上中下がある。大悪猛利の心と。三時に決定する者は。上品なるものじゃ。悪心の決定せぬと。増長せぬと。時に當て。止むことを得ぬは。中下品なるものじゃ。境界にも上中下があるじゃ。人を殺すを上とする。諸龍等を殺すを中とす。微細の蚊蚋(ぶんぜい)等を殺すを下とする。人の中にも、父母等有恩の人を殺すを逆罪と名つける。大局重罪じゃ。余の有恩の人を殺すを上の中の上品とする。中庸の人を殺すを上の中品とする。悪人を殺すを下品とするじゃ。此類を推して諸戒犯相の上中下を知れ。善心を以て善人を殺す。悪心を以て善人を殺す。善心を以て悪人を殺す。悪心を以て悪人を殺すなど。其罪の軽重差別。契経・律蔵・論蔵に具に料簡の有と云ことじゃ。
此上中下品ということは自ら心を起すに就て上中下がある。大悪猛利の心と。三時に決定する者は。上品なるものじゃ。悪心の決定せぬと。増長せぬと。時に當て。止むことを得ぬは。中下品なるものじゃ。境界にも上中下があるじゃ。人を殺すを上とする。諸龍等を殺すを中とす。微細の蚊蚋(ぶんぜい)等を殺すを下とする。人の中にも、父母等有恩の人を殺すを逆罪と名つける。大局重罪じゃ。余の有恩の人を殺すを上の中の上品とする。中庸の人を殺すを上の中品とする。悪人を殺すを下品とするじゃ。此類を推して諸戒犯相の上中下を知れ。善心を以て善人を殺す。悪心を以て善人を殺す。善心を以て悪人を殺す。悪心を以て悪人を殺すなど。其罪の軽重差別。契経・律蔵・論蔵に具に料簡の有と云ことじゃ。