SAILIN' SHOES

デジタル一眼、ライカ等でのスナップ写真や、カメラ、音楽、鉄道・車、子育ての日々雑感です。

大場電気鍍金工業所 つげ義春

2020-10-31 | 雑感

子どもの頃からつげ義春は大好きで、いろいろな形で何回も読んでいる。

いろいろな出版のバリエーションがあるからだ。

今日読了したのは、近年はまとまった作品集のちくま文庫版。

星5つの最高傑作だと思う。

何回も読みたくなる傑作。

つげ義春にはいくつかのパターンがある。

戦後の風景の中での貧乏暮らしの話、温泉旅行などの鄙びた旅行日記、幻想的な小説風漫画、ユーモアのある昭和の風景・・・

この本は戦後から昭和20年代~昭和30年代を舞台にした、自叙伝的な貧乏暮らしの短編集。

すべてが自叙伝ではなく、創作も入っているようだが、基本的には経験をもとに書かれたものが多い。

戦後の焼跡からの復興期に、貧富の差が生まれて、うまく時流に乗らず、親も居るような居ないような少年期に

メッキ工場で働いたり、貸本や向けの漫画を描いたり、やみ米を売る手伝いをしたり。

木造のぼろアパートで食べるのも苦労しながら、でも何とかどっこい生きている風景が続く。

暗くて重くて沈み込む話が多いようなイメージだが、実は主人公はちゃんと青春してるようなところもあって、

非常に面白い。

絵の細かい部分にも目が離せない。

昭和40年代の初頭の頃、まだどぶ川や汚い池や、共同トイレのアパートや、駅には傷痍軍人がたくさん居たり、

未舗装の水たまりを跨ぐ板が置いてあったり、鼻水をたらしたランニングシャツの子どもが居たりする時代を

生きていたのもあって、懐かしい風景にグッとくるのである。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 渋谷の一等地 | トップ | The Red Cats 海老名 ViNAWA... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

雑感」カテゴリの最新記事