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Mikuのブログ

大胆な金融緩和による円安が「通貨安競争」だという批判は妥当か?

2013-05-09 16:24:54 | 政治・国防・外交・経済

大胆な金融緩和による円安が「通貨安競争」だという批判は妥当か?

 [HRPニュースファイル631]

日経平均株価が1万4000円台まだ回復しました。為替レートは100円近くまで下落しており、日銀の「異次元緩和」の影響は出ています(2013年5月8日現在)。

 

□金融緩和と為替介入は異なる

さて、ここに来て日銀の金融緩和に対して中国や韓国、中南米をはじめとした海外の要人やメディアから「通貨安戦争」という言葉が飛び交っています。

為替の切り下げる(円安のこと)ことで輸出を促進していく為替政策を指すのが一般的ですが、大きく分けて二つの方法があります。一つは現在のように金融緩和を通じて通貨量が増える。つまり通貨の価値を下げる円安路線がこれにあたります。

もう一つは為替介入です。

いわゆる通貨当局が「円売りドル買い」をすれば同じ効果が得られます。さらに、為替介入には日本独自で行う単独介入と各国との協調介入の二つに分けられます。もし、日本がG8などの先進国との協議を経ないで外債購入や円売りドル買いを行うとすれば、これは単独介入となります。

そして、もう一つが協調介入ですが、有名なのは、1985年のプラザ合意によるドル高是正です。

当時のアメリカは「強いドル」を標榜するレーガン政権でした。そのため、アメリカの長期金利は高めの水準にありました。その結果、アメリカの経常収支赤字が増大したため、ドル高是正という国際的な議論が出ていたのがプラザ合意の主要課題でした。

それでは、単独介入と協調介入は何が違うのでしょうか。

行動原理は、意図的に通貨価値を操作するので同じです。

ただし、国際金融筋では協調介入が原則であって単独介入はしばし批判にさらされます(HRPニュースファイル78を参照)。

シティーグループ証券株式会社の藤田勉取締副会長によれば、為替介入は外交問題であると説明しています(藤田 勉 『金融緩和はなぜ過大評価されるのか』参照)。

この説明は実に正確です。つまり、自国の通貨を動かすということは、当然相手国通貨を動かすことになります。従って、自国の経済状況だけで単独介入をすることは、相手国の理解なしに行うものであり、外交問題になるか相手国から批判されて当然なのです。



□為替介入の効果は短期で限定的

協調介入が理解を得やすいのは、突発的なショックによって為替が大幅に変動したときです。

例えば、2011年3月11日の東日本大震災によって円相場が急騰した際にも先進国間で協調介入が行われました。また、先ほどの例では、「強いドル」政策によってアメリカの経常収支が悪化したことで、ドル高是正が国際世論となりました。こうした国際間での政治的合意があれば協調介入が行われることはあります。

ただし、単独介入にせよ協調介入にせよ、為替市場に与える効果は短期的であり効果は限定的だというのが現実です。根本的には、為替は勝手に動かせるものではなく、時々刻々と変動する為替市場で決まります。よって、国際金融の専門家の間では為替介入は評価されていないのです。

 

□通貨政策に関する「国際学派」の新しい見解

上記の議論から分かる通り、今回の大胆な金融緩和は通貨戦争とは別物です。

安倍政権は意図的な単独介入をせずに日銀による金融緩和を通じて通貨供給量を拡大したにしか過ぎません。よって、海外の要人やメディアが日本の通貨当局が「通貨戦争を煽っている」という主張は間違っているのです。

確かに、かつては通貨の切り下げは「近隣窮乏化政策」と呼ばれ、一方的な切り下げは海外の需要を奪う悪政だと批判されていました。国際経済学の教科書を開けば、1930年代の大恐慌の一員として通貨切り下げによる通貨安競争がブロック経済化と貿易縮小の原因だとする記述はいまだに見られます。

しかしながら、カリフォルニア大学バークレー校のB・アイケングリーン教授の最新の研究によれば、金融緩和による為替変動と為替介入は区別するべきだと論じています。

前者は、今の日本の政策そのものです。日本や米国、欧米諸国が一斉に金融緩和をすれば、為替レートは相対的に変化せず、金融緩和による株式市場や資産市場の活性化が行き渡るので「近隣富裕化政策」だとしています。後者は、古典的な「近隣窮乏化政策」であるのは言うまでもありません(*2013年2月16日の日経新聞に掲載されたアイケングリーン教授のインタビュー記事も参照のこと)。

同教授の見解は、日本では早稲田大学の若田部昌澄教授が紹介して有名になりましたが、まだまだ人口に膾炙しているとは言えません。それでも、通貨安競争=悪と一概に退ける固定観念を打破し、新しい学問的成果が出ていることには注目するべきでしょう。

以上、マスコミ報道で誤解しやすい為替切り下げ政策に関する新しい研究成果とアベノミクスの円下落は通貨戦争ではないことを論じました。政策担当者は、こうした一般受けしやすい言葉に流されることなく学術的にもきちんと反論をしていくべきです。(文責:静岡県参議院選挙区代表 中野雄太)
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このままでは、昇給前に増税(税率増)がくる

2013-05-09 16:08:42 | 政治・国防・外交・経済

東証株価1万4千円台を回復 さらなる成長のためには増税をやめるべき
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=6004

日本の景気回復が着実に進んでいる。日経平均株価の終値は7日、リーマン・ショック(2008年)前の水準の1万4千円台を回復した。これは米国の雇用統計の改善や、欧州中央銀行(ECB)による利下げなど、海外での経済回復予想の高まりで円売り・ドル買いが活発となって、円安が一段と進み、輸出関連企業を中心に好業績が見込まれたためだ。

実は、昨年秋からの株高の主要因は海外投資家にある。5月8日付日経新聞によれば、海外投資家による売買は6割を超えており、4月にいたっては「買い」から「売り」を引いた買越額は約2兆6800億円で、史上最大だという。つまり、安倍首相が掲げる「アベノミクス」の「三本の矢」が軌道に乗りつつあるなかで、日本経済は海外投資家の注目を集め、実際に大量の資金流入が起こっているということだ。

しかし、株価が1万4千円台を回復したといっても、まだまだ満足するには早いだろう。バブル期の最高値は3万8千円台で、4万円に近かった。また、「安倍バブル」と揶揄するのも取り越し苦労にほかならない。なぜなら、日本はこの20年不況の間、景気回復の芽があったにもかかわらず、「清貧思想」に由来する増税や規制強化、金融引締めで、その芽を自ら潰してきたからだ。

一方、景気回復に沸く陰で、税金や保険料の負担が軒並み増す、あるいは増す予定になっていることも忘れてはならない。すでに今年1月から、会社員の「給与所得控除」の縮小、復興特別所得税の導入、退職金にかかる税金の計算方法の変更(以前より不利になる)が実施されており、10月からは厚生年金の保険料率の引き上げ、公的年金給付額の1%減額が予定されている。来年1月には現在活発になっている株式売買においても、その売却益、配当金にかかる税率が引き上げられるほか、4月には消費税率が8%に上がる。

増税をすれば国民の負担は増え、その分だけ自由に使えるお金は少なくなる。これは経済学者のハイエク風に言えば、「国民の経済的自由」を奪っていることにほかならない。また、経済成長には新たな産業やそれに応える投資が必要で、その投資の主となる富裕層に増税することも、自分の首を締めるような格好になる。

国家は国民に負担を強いるのではなく、国民にお金を実際に使ってもらえるような建設的なビジョンを打ち出し、その経済成長の恩恵によって税収を増やすのが望ましい。(原)

【関連記事】
2013年6月号記事 バブルでこそ日本は蘇る 株価10万円も夢じゃない
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5938
2013年1月3日付本欄 【2013年展望・経済編】増税不安と金融緩和期待が交錯するなかで、新経済秩序を創れるか
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5416

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「話し合い」は時間稼ぎにしかならない

2013-05-09 16:04:34 | 中国・北朝鮮・共産党・尖閣国防問題

北朝鮮をめぐり緊張緩和の動き 「話し合い」は時間稼ぎにしかならない
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=6003

韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は現地時間7日、米ワシントンでオバマ大統領と首脳会談を行い、北朝鮮に対して歩調を合わせて対応することなどを確認した。同時に発表された米韓同盟60周年にあたっての共同声明には、両国が北朝鮮の非核化を目指して国際社会と連携し、挑発に対しては防衛力強化などで対応することなどを盛り込んだ。

2月の核実験以降、核攻撃をほのめかして威嚇するなどして戦争の危機を煽った北朝鮮に対して、米韓は対話を呼びかけることで緊張緩和を図ってきた。オバマ大統領は首脳会談後の共同記者会見で、北朝鮮が非核化に向けて具体的な行動を取ることを条件に、対話に応じる姿勢を示したが、これはケリー国務長官が4月の韓中日訪問で強調したメッセージと同じである。

北朝鮮側も緊張緩和を模索する動きを見せている。同国は4月初旬に中距離ミサイル「ムスダン」2基を日本海側に移動して発射準備を整えていたが、最近はこのミサイルが撤去された模様だ。別の場所に移されて格納されている可能性もあるが、北朝鮮は軍の警戒態勢を引き下げているという情報もあり、挑発路線をいったん転換した可能性も否定できない。

友邦として北朝鮮に食料や燃料を供給している中国にも、北朝鮮への態度に若干の変化が見られる。中国の大手国有銀行である中国銀行は7日、貿易決済を行っている北朝鮮の朝鮮貿易銀行に対して、取引停止と関連する口座の凍結を通告した模様だ。中国には、北朝鮮の挑発に備えて日米韓が防衛強化を図っていることで、今度は中国自身の安全が脅かされかねないという懸念がある。中国政府の意図は明らかでないが、今回の中国銀行の措置が、独自の金融制裁の可能性もあると見られる。

米韓の話し合いの呼びかけに対して中国も前向きな動きを見せ始め、朝鮮半島の緊張状態が若干和らぎつつあるように見えなくもない。

しかし問題の核心は、国民を飢餓と政治的抑圧で虐げながら、核・ミサイル開発で周辺国を威嚇する北朝鮮という危険国家を、いつまで生かしておくのかという点にある。「話し合い路線」で一時は緊張が緩和されたかに見えても、それは時間稼ぎにしかならない。北朝鮮の悪魔的な国家体制を解体するまで、朝鮮半島の根本的な問題は解決しない。 (呉)

【関連記事】
2013年5月3日付本欄 北朝鮮が拘束中アメリカ人に強制労働の判決 アメリカは独裁者に頭を下げるな
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5983
2013年4月24日付本欄 アメリカが北朝鮮に食糧援助を検討も 人道支援は「人道的」か
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5918

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