大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道172

2009-01-08 20:21:35 | E,霧の狐道
 俺は扉をジッと見た。
そして、耳を澄ませる。
鞠の音は、この部屋の前をゆっくりと通過する。

“ てんてんてん、てんてんてん、てんてんてん・・・・。”

音は動いて行く。
でも、扉のスリガラスに、人影は映らなかった。

「 人影が映らないな・・・?」

俺は不思議に思いながら、動いて行く音を聞いていた。

「 通過して行った・・・。」

鞠の音は、ゆっくりと遠ざかって行く。

「 誰だろう、こんな夜中に・・・。」

鞠の音がスッと消えて静かになった。
山本爺の呟きが、また聞こえた。

「 来る・・・・。」

俺は、思った。

“ それも言うなら、行っちゃっただろ!”

その時、ベッドとベッドの間を、赤い鞠が跳ねながら転がって行くのが見えた。

“ てんてんてんてんてん・・・・、ころころころ・・・・。”

俺は、鞠を眼で追った。

「 あらっ、赤い鞠・・・!?」



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