話の途中で、山本爺はまた布団を被った。
「 あの、あそこの空いたベッドから出て来たのは、何ですか?」
「 ・・・・・・・。」
布団を被ったままの山本爺から返事は無かった。
田中爺のいびきは、まだ響いている。
“ ぐごごごごごごぉ~、ぐごごごごごごぉ~。
ぐごっ・・・・・・。”
田中爺のいびきが突然止まった。
辺りが静かになる。
“ あれっ!?”
また、通路に足音が聞こえた。
“ カツカツカツカツ・・・。”
それも、複数だ。
“ バタバタバタバタ・・・・・・。”
そして、扉の音。
“ ギッ、バタン!”
誰かが部屋に入って行く。
“ 看護婦さんと医者かな・・・。”
また静かになる。
俺は突然気が付いた。
“ あれっ、モニター音・・・。”
通路に流れていたピッピッピッと言うモニター音がいつの間にか途切れていた。
“ 音、消えている・・・。
音、音、音、音、・・・・。
それって・・・・・・・。
ヤバッ・・・・。
山本爺、さっき連れて行ったって言ったな・・・。
それって、そう言うことだったのか。
いや、納得している場合では・・・・・。”
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