大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道180

2009-01-26 19:06:12 | E,霧の狐道
話の途中で、山本爺はまた布団を被った。

「 あの、あそこの空いたベッドから出て来たのは、何ですか?」
「 ・・・・・・・。」

布団を被ったままの山本爺から返事は無かった。
田中爺のいびきは、まだ響いている。

“ ぐごごごごごごぉ~、ぐごごごごごごぉ~。
 ぐごっ・・・・・・。”

田中爺のいびきが突然止まった。
辺りが静かになる。

“ あれっ!?”

また、通路に足音が聞こえた。

“ カツカツカツカツ・・・。”

それも、複数だ。

“ バタバタバタバタ・・・・・・。”

そして、扉の音。

“ ギッ、バタン!”

誰かが部屋に入って行く。

“ 看護婦さんと医者かな・・・。”

また静かになる。
俺は突然気が付いた。

“ あれっ、モニター音・・・。”

通路に流れていたピッピッピッと言うモニター音がいつの間にか途切れていた。

“ 音、消えている・・・。
 音、音、音、音、・・・・。
 それって・・・・・・・。
 ヤバッ・・・・。
 山本爺、さっき連れて行ったって言ったな・・・。
 それって、そう言うことだったのか。
 いや、納得している場合では・・・・・。”




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