大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道181

2009-01-28 18:50:08 | E,霧の狐道
俺は女の子が言った言葉を思い出していた。

“ 確か『この病院で、ずっと遊べるね』って言ってたぞ。
 この病院で、ずっと遊べる。
 退院、無し?
 この病院で・・・・・。
 ずっと遊べる・・・・。
 連れて行く・・・・。
 俺もってか!?
 うわっ、大変だ。
 遊びたくない。
 これはお揚げ婆さんどころではないぞ・・・。
 俺は、ずっとこの病院にいなければならないって・・。
 ヤバッ!
 ヤバイぞ!
 これは、どうしたらいいんだ・・・・?”

通路に慌しい複数の足音が響き、見知らぬ奥の病室に入って行く。

“ これは、どうしたらいいんだ・・・・?”

そして、少し間を置いて去って行く。

“ ホント、どうしたらいいんだ・・・・?”

通路をストレッチャーが遠ざかって行く音がする。

“ キュルキュルキュル・・・。”

辺りは静かになり病院は闇に溶け込んだ。
時計の音が俺の頭の上で規則正しく打っている。

“ コチ、コチ、コチ、コチ、・・・・。”

俺は時計の音から逃れるため布団をガバッと被った。
口をついて言葉が漏れる。

“ 大変だ、大変だ、大変だ・・・。”

俺は“大変だ念仏”を唱えながら、対策も分からないままコテッと寝てしまった。




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