大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道179

2009-01-24 19:15:53 | E,霧の狐道
 看護婦さんが走り去ると辺りは一旦静かになった。
耳を澄ます俺に鞠の音がまた聞こえ始めた。

“ えっ!?”

鞠の音が、再度、鳴り始めたのだ。

“ てんてんてん、てんてんてん、てんてんてん・・・・・・。”

そして、鞠の音が遠ざかって行く。

“ てんてんてん、てんてんてん、てんてんてん・・・・・・。”

俺は音が消えてしまうまで病室の扉を眺めていた。
 音が消えると山本爺が布団から顔を出して言った。

「 連れて行った・・・・。」
「 えっ、連れて行った・・・・?
 何を・・・?」

田中爺は、まだ、いびきをかいている。

“ ぐごごごごごごぉ~、ぐごごごごごごぉ~。”

山本爺がボソッと言った。

「 おまえ、連れて来るな・・・。」
「 えっ、何?」
「 変なの・・。」

俺は、ようやく理解した。

「 あ、あの女の子、俺が連れて来た・・。」
「 バカ。」
「 そ、そうか・・・・。
 でも・・・・・。
 あっ、ちょっと待って・・・・。」



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