大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道175

2009-01-14 19:10:05 | E,霧の狐道
 俺は肘で少し体を起こし、空きベッドのある足元の方を見る。
女の子が見ている空きベッドの真ん中辺りから、黒い塊が盛り上がって来る。

“ ん・・・?”

黒い塊は徐々にベッドから高くせり上がり、やがてベッドの上に立ち上がった。
白い壁をバックに人の形の黒い影として見える。
でも、それは黒い人形だけで顔や目鼻は分からない。
そして、黒い影はベッドから降り、女の子の横に立った。

“ あれは、人か・・・・?
 な、ん、だ、ろ・・??”

黒い影の背丈は大人の大きさだ。
女の子と黒い影が親子のようにベッドの横に並んで立っている。
 女の子が病室の扉を右手で指差した。
そして、その動きに続いて、女の子を前に二人は移動を始める。

“ 通路に出るのかな?”

俺は二人の動きを眼で追った。
女の子はス~ッと移動するが、黒い影は歩く度にガッタンガッタン揺れる。

“ 足、悪いのかな・・・?”

でも、黒い影だからよく分からない。
 二人が俺のベッドと空きベッドの間まで来たとき、女の子の動きが急に止まった。
黒い影もその動きに従って女の子の後ろで立ち止まる。

“ 止まったぞ、ヤバッ!”

俺はマズイと思って布団を鼻まで引っ張り上げ、眼だけで様子を窺った。




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