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日々の恐怖 4月8日 歌舞伎町ホスト

2014-04-08 18:22:37 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月8日 歌舞伎町ホスト



 24歳男です。
体験談話します、実話です。
 初めてホストクラブで働いたのは19歳の頃で高校を出て1年制の専門学校を卒業した直後に就職に困って歌舞伎町へと進出しました。
イメージではイケメンしか出来ない仕事だったけど、やってみるとそんな事もなくて、ふかわりょう似の僕でも何とか食っていける仕事でした。
 女を騙すノウハウを毎日考えて、駅前を歩く女の子の気を引き店に連れ込みました。
恐らく一日に10組以上入れていました。
それが所謂キャッチという作業なんですけど、普通ある程度客がいるホストはキャッチに出ない行かないんです。
新人が連れてくる客を、自分の客にしようと店内で接客するわけです。

 ホストをして二年程経った頃です。
ある程度偉くなり、ナンバーにも入り、客が来ない日なんて滅多になかったんですけど、ある日たまたまお茶引き(自分の客が一人も来ない事)になってしまい、客は一人も連絡が付かないし、店も暇だから仕方なく後輩とキャッチに出たんです。
 新宿東口で女の子に声を掛けました。

俺「 飲みにいかない?^^」
女「 いいよ、どこの店?面白そうだから指名してあげるよ。」

一人目の女の子が突然引っかかったので、ラッキーと思って店に呼んだんです。
後輩に挨拶して店に行く事にして声を掛けました。

俺「 お-おっ先~^q^」
後輩「 あ、戻るんすか?」
俺「 ういうい^q^」
後輩「 早いっすねー」

店に行く最中女はニコニコしながら話しかけてきて、大事そうにデカいバックを抱えている。

“ あぁこいつはホスト慣れしてないんだな、イイ鴨だわ。”

なんて考えてながら笑顔で対応していました。
すると突然女が立ち止まってこう言いました。

「 女の子騙す時って、どんな気持ちなの?」

“ おいおい突然突っ込んだ質問するなぁ・・・。”

そう思いながらも、今更店に呼べなくなっては困ると思った僕は、

「 騙すなんて思った事一度もないよ^^どして?」

と答えると同時に異変に気付きました。
 その時初めてその女をちゃんと見たのかもしれないです。
さっきまで女が持っていたバックだと思っていたものは、バックではなくて丸めた毛布だったんです。

“ ・・・!?”

「 この人も私を騙すつもりなかったと思う?」

“ この人・・・?
毛布・・・?”

二人の近くに、この人と呼ぶような人影はありません。
 気付くと女は下唇を強くかみ締めていて、口からポタポタと血が垂れていました。
もう店の近くまで来ていたけど、コイツ完全にバグってると思い、店から電話がかかってきたフリをして、

「 店が一杯みたいだからまた今度にしよ^^;」

と断ると、女は無言で駅の方に歩いて行きました。
内心ホッとしつつ、変に気疲れしたと思い店に戻ろうとすると電話が鳴りました。
さっきの後輩からでした。

後輩「 あ、○○さん?もう店っすか?」
俺「 そだよ、さっき変な女連れてきそうになっちゃってさ。」
後輩「 マジっすか?僕も客見つけたんで戻ります。」
俺「 ぅぃぅぃ、店で待ってるわ。」

店でオーナーと世間話をしていると後輩が店に戻ってきました。

「 お客様ご来店で~す!」
「 いらっしゃいませ!」

掛け声と共に後輩が女と入ってくる。

“ ・・・!?!?”

後輩が連れてきた女はさっきのワンピースの毛布を持った女でした。
 その瞬間、またビックリしました。
オーナーがキッチンへと突然走り、荒塩を女目掛けて投げつけだした。
後輩と僕は、何が何だかわからずキョトンとしてしまった。
女は奇声を発しながら店内を走り回り、まばたきをした瞬間、突然消えた。

俺・後輩「 え!?!??!?」

目を真っ赤に血走らせたオーナーが、

オーナー「 また来たのかよ、あいつはヤベェから気をつけろ。」
俺「 えっ!てかあの女どこ行ったんすか?!?!」
後輩「 は???幽霊???は???」

興奮状態の僕と後輩は、それ以降の会話をあまり覚えていません。
 オーナーの話だと数年前から毛布を持った女が何度か来店し、その女が来た日に売り上げはうなぎ上りになるらしかった。
話の通りその日は徐々に客がドカドカ入り満卓になった
 でもその話には続きがあって、その女に接客して相談に乗ったり優しい言葉を掛けるとそのホストは自殺してしまうという話だった。
僕がホストを始める前に、数人その店でも自殺したらしかった。
幽霊を初めて見た僕と後輩は興奮を抑えきれないと同時に、自分たちが呪われてないか不安で仕事が手に付かず、それを心配するオーナーと一緒に三人で御祓いに行ったが、オーナーだけは神社の外で待っていました。
 オーナー曰く、

「 幽霊だろうと何だろうと女は上手く使えば金になる、お祓いなんてもったいねぇよ。
他のキャストにさっきの話すると、ビビってやめちゃうから言うなよ。」

だそうです。

“ この人はどこまでもホストなんだなぁ。”

と変に感心した反面、体験した事にかなりビビっていました。
最初で最後の怖い体験ですが、今年僕はホストを辞めたのでお話ししました。
 当時の後輩も僕も元気ですが、後輩は右手の小指、僕は左足の小指が別々の事故で切断しました。
後輩はホストを辞めて鉄筋の作業中に、僕はバイクでコケてコンクリの溝に靴が挟まったんです。
小指で尚且つ同じ体験をした二人です。
偶然とは思えないです。

“ その毛布の中には、ホストの小指が入っていたんじゃないかな・・・。”

何て、今になって思います
 歌舞伎町でホストをしてる人は、同じ体験をしたことがある人もいるんじゃないかな、とも思います。
ホストをしようと思ってる人、してる人、白いワンピの毛布女だけは声掛けないほうがいいっすよ。














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