日々の恐怖 5月17日 奇妙な体験(1)
以前、一度だけどうにも奇妙な体験をしたことがある。
金縛りというものは多くの人が経験してると思うが、あれは脳の錯覚で、本当は寝ているだけなのに、起きていると脳が勘違いをしてしまうために起こる現象なのだと一般的には言われていて、俺も全くそうだと思う。
じゃあ、金縛りが起きた時、実際にその様子を他者的視点から見たらどう見えるのか。
俺はそのことに興味がわき、実際に自分の寝姿をビデオに撮ることにした。
寝る前にカメラをセットし、寝てる間に金縛りに遭ったと思ったら、朝起きてビデオを確認するという段取りだが、そう都合よく金縛りに遭遇することもなく、始めてから2ヶ月くらいは空振りの日々が続いた。
そして、ある日の夜、ついにそのときが訪れた。
その日は特に疲れたということもなく、今日も空振りだなと特に期待せず眠りについたのだが、眠ってから、感覚的に4時間後(自分の中では夜中の3時くらい)に金縛り直前特有の嫌な感覚が襲ってきて、直後に意識が覚醒したと思うと同時に体が硬直、
“ ついに来たか!”
という興奮と、冷静になろうとする感情が入り乱れる。
今回の目的は、金縛りになることもそうだが、この状態をいかに長く持続させるかが重要だ。
長時間金縛り状態を保たないと、ビデオを見たときにどこがそれだったのかわからない可能性が高いからだ。
俺はリラックスしすぎないように手や体を動かそうとしながら、
“ やはり動かないな・・・。”
などと妙に冷静な状態を保つことができ、金縛りになってから5分くらいは経った感覚があった。
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