日々の恐怖 5月23日 奇妙な体験(4)
その後、ずっと早送りを続ける。
その間、ベッドで寝ている俺は時折寝返りを打ったり微妙に動いているだけで何の変化もない。
動画の4分の3過ぎたあたり、つまり開始から3時間経ったあたりまで早送りしたが何の変化もない。
しかし、昨日の感覚的に、このあたりで金縛りにあったんじゃないかと予想を立てて、この辺りから通常再生にする。
動画開始から3時間半を過ぎたあたりで、異常が起こった。
先程来と変わらぬ寝返りをうとうとした俺が、寝返りを打つちょうど真ん中あたりで画面が固まった。
具体的に言うと、右手が空中に浮いた状態で画面がそのままになってしまった。
“ あれ・・・?”
と思って画面をよく見ると、再生自体は続いている。
経過時間を表す数字も、変わらず進み続けている。
しかし、画面の中の俺だけが不自然に腕を空中に静止させたまま、一時停止のように動かないのだ。
“ もしかして、これが金縛りなのか?”
あまりの予想してなかった展開に当惑した。
“ 金縛りとは脳の錯覚ではなかったのか?”
実際に体が硬直するものだとは思いもしなかったので、どう捉えていいのかわからないまま、動画は再生を続ける。
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