日々の恐怖 4月15日 ワイの話(3)
妹はたまに、何も無い空中を手で払うような仕草をしていた。
ある時、祖父母の家で妹は火が付いたように泣きながら、祖母の近くで必死に腕を振り回していた。
マッマがなだめて、
「 どうしたのか?」
と妹に聞いても、妹は泣き叫ぶばかりだった。
泣き疲れて眠り、妹が目を覚まし落ち着いてからマッマが再び、泣いていた理由を聞くと妹は思い出したようにまた泣き出す。
「 ばぁちゃんのからだに、わるいくろいたまがはいってく!」
何度も何度も妹は、
「 悪い黒い玉が~!」
と泣き叫んでいたが、ワイには意味が分からずに困惑するばかりだった。
妹曰く、バッバの胸に黒い玉が入ろうとしていたのを妹は防ごうとしていたのだが、黒い玉はバッバの身体に入ってしまったらしい。
マッマが黒い玉の事を妹に聞いても、妹はうまく説明が出来ないようだったが、終始、
「 黒い玉は悪い奴!」
と怖がり、泣くばかりだった。
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