日々の恐怖 4月12日 ワイの話(2)
そして、ワイは見栄っ張りでもあったので、
“ 絶対におねしょはしない!お兄ちゃんだから!”
という謎の自分ルールを守るために、夜トイレに行きたくなったら妹を無理矢理叩き起こしてトイレまで付いて来るように、しばらくの間命令し続けた。
見栄のために妹を頼る時点で既に支離滅裂だし、何より妹はワイには見えない何かが見えている。
もしトイレに行く途中で、
「 おばけがいる!」
とか言われたら怖すぎてトイレに行けなくなり、ワイはおねしょお兄ちゃんになってしまうだろう。
だから、ワイは、
「 何か見えても、お兄ちゃんにはもう絶対に言うな!」
と半泣きで妹に言い聞かせ、約束させた。
しばらく経ち、やっとまた夜に一人でトイレへ行ける様になったワイは、ずっと気になっていた事を妹に聞いてみた。
「 ねぇ・・、お兄ちゃんに似た女の子って、今、どんな顔してるの・・・?」
「 ん~、わらってるよ!」
その時は、
“ いたかもしれないお姉ちゃんの分まで、ワイが妹に優しくしなきゃ!”
と思ったが、小さい頃のワイは暴虐無人で次の日にはすっかりその思いを忘れ、妹を子分の様に連れ回しては滅茶苦茶に扱っていた。
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