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日々の恐怖 3月30日 村岡君(2)

2022-03-30 11:59:18 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 3月30日 村岡君(2)





 いつの間にかクラスメートのほとんどが集まってきました。
何人かは竹林側の廊下に出て、より近くで見えない女性のその姿を見ているようです。
 しかし私や半分くらいのクラスメートには何も見えません。
そこへ担任と隣組の先生がやってきました。

「 お前ら何してるんや、作業せいよ。」

担任の山本先生が言います。
年下の隣組の先生は腕組みをしています。
 村岡君がつぶやきました。

「 あそこの竹のとこに変な女がいるんです。」

指差す方向を見た担任は、

「 雨降ってるだけやないか。
竹の子でもおるんか?」

と笑います。

「 や、山本先生、あれが見えんとですか!?」

隣組の先生が腕組みをとき、後ずさりながら言いました。

「 透けとう女です!」

中途半端な笑い顔のまま山本先生は、それでももう一度その方向を見ます。

「 いや、見えんが・・・、みな見えとるの・・・??」
「 はい、見えるとです。」

 雨がやや強くなり、ほとんど夜の暗さになった教室に、さっきまで騒いでいた生徒たちも静かになり、その方向を皆見つめています。
女生徒の怖くてすすり泣く声だけが聞こえます。
見えない生徒たちも、その不気味な雰囲気に何も言うことができません。










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