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日々の恐怖 2月27日 幸福の妖精(2)

2018-02-27 19:02:25 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 2月27日 幸福の妖精(2)






 うまく言えないんだけど、馬鹿にしてるとかじゃなくて、普通に平然とした顔で、

「 大丈夫だよ~、君は大丈夫、大丈夫~。」

と言って頷いてた。
 俺も何か怒りがすっと引いて、

“ よく考えたら、別にそんな入りたい所じゃなかったなァ・・・。”

って冷静になった。
 おっさんの胸元掴んでしわしわになってたんで、

「 すんませんでした。」

と謝ったら、おっさんはまた普通の顔で、

「 大丈夫だよ~、君は大丈夫。」

と言って去って行った。
 OBからは連絡なかったけど、本命じゃなかったのに流されそうになってしまった、その会社の熱意というか強引な口説き方が、遅まきながら怖くなったから、俺からも連絡しなかった。
 それから2ヶ月後、ちょっとだけ条件を譲歩したら、元々の希望だった研究職の内定もらえた。
 俺はおっさんに感謝した。
でも本当に驚いたのは、それから3年後だった。
 昼休みに食堂で見たニュース。
俺とおっさんが追い出された会社が、謝罪会見やってた。
 詳しくは書けんが、会社ぐるみで犯罪やって、社長以下、幹部はほとんど逮捕。
平社員もノルマの名の元に犯罪行為させられてて、かなりの人が客から訴えられたそうだ。
 いっしょに飯食ってた同僚に、

「 もしかしたら自分は、ここではなくこの会社に入るかもしれなかった。
いや、おっさんが邪魔してくれなかったら、確実に入ったと思う。」

と話したら、

「 もしかして、そのおっさんって、幸福の妖精じゃね~の?」

と言われた。
 俺は、

“ 妖精ならTinker Bellmみたいな感じだろ・・・。
しかも、小太りで禿げてる妖精かァ・・・・?”

と思った。
 いや、まあ、でも本当に感謝してる。
いつか会ったら妖精に礼を言いたいけど、あれ以来会ってない。














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