日々の恐怖 12月17日 ガキの頃の話 (1)
もう40年近く前、ガキの頃の話。
田舎の悪ガキだった俺は、大人から立ち寄ることを禁止されていたある場所に、
秘密基地と称して学校帰りに遊びに行くのが日課だった。
何故、禁止かと言うとそこは町内では知らない人はいないというくらい有名な
自殺スポット。
小さな山を少し登ると寂れた神社と境内に大きな木があって、その木で首吊り自
殺が時々おきるような場所。
俺らの親が子供の頃から有名らしいが、頻繁に自殺騒ぎがあるわけではない。
忘れた頃に誰かが首を吊るというような数年に一回有るか無いか。
ただ、俺の田舎は如何せん閉鎖的な小さな村だから、
「 〇〇とこの××さん、自殺神社で吊ったらしいで。」
と直ぐに噂は広まり、そんなことが何回か繰り返された後、滅多に人が近寄らな
くなり、理由は何となく誰も語らないまま子供には危ない場所だから立ち寄り禁
止、と大人から教わっていた。
前置きが長くなったが、何故そんな場所を遊び場にしてたかというと、俺が小
学生だった頃は長らくその場所で自殺があったなんて一度も耳にしたこともな
かったから、噂好きの大人たちが作った都市伝説みたいなもんだろうと信じてな
かったし、何よりいつも連れ立っていた中でも特に悪ガキのリーダー格Sがその
神社で賽銭を盗んで買ってくれるお菓子や玩具につられていた。
賽銭泥棒は罪という概念はあっても自分が盗んでるわけではないし、Sが頼ん
でもないのにお菓子や玩具を買ってくれるというのが、俺らの罪悪感を薄めた。
そんな悪ガキ仲間は俺、Sとその弟Mさらに、SとMの従兄弟にあたるK。
いつも悪巧みを働く時はこの4人だった。
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