日々の恐怖 12月14日 コンビニの災難 (3)
しかし奇妙なことに、捨てられた時間帯にいたはずの店員や当日いたという客
も含め、誰もゴミを持ってきた人間を目撃していないというのである。
ゴミ箱に投棄する音などの気配すら無い。
監視カメラには入店して捨てて帰るまでバッチリ映っているのに、その間は誰も
気付いていないのだ。
原因は何なのか心当たりはあるのか聞いてみると、彼は暫く考えた末に、
「 なくはないんですけどね。」
と答えた。
「 ホラ、ウチの店の裏に神社あるじゃないですか。」
壁に遮られて見えない神社の方角を指差す。
「 神社の駐車場に、あるゴミを投棄していくヤツが増えてるらしくてですね。」
「 ゴミ箱を店内に移動したから?
それで神様に変なゴミを捨てられる呪いをかけられたって?
いくらなんでも逆恨みじゃない?」
そこはゴミを捨てた人間を呪うべきだろう。
そんな私の言葉に、彼は、
「 いえいえ・・・・。」
と手を振った。
「 そのゴミっていうのが、釘が打ち付けられた藁人形とかの使い終わった呪い
の道具らしくてですね。」
呪ったはいいが、どうもその後の処理に困って神社の近くに捨てていくらしい。
「 で、これは僕の推測ですが・・・。」
と彼は口を開く。
「 捨てられる度に呪いの残りカスみたいなのが蓄積してですね。
だけど当然ながら神様には影響がなくてですね。」
苦笑しながら言葉を続ける。
「 すぐ下にあるウチの店に、そういうゴミ的な呪いパワーが流れてきてるん
じゃないかと思うんですね。」
「 考えると変なゴミの大半って”使用済みの呪術アイテム”っぽいですしね。」
と彼は言う。
「 呪いのゴミ箱と化したウチの店が潰れちゃったら、次は近所の何処かがゴミ
箱になるんでしょうかね?」
別れ際に、彼はそう疑問を口にしていた。
そのコンビニのオーナーさん夫婦が夜逃げしてしまったので店舗が閉鎖されたと
耳にしたのは、つい先日である。
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