俺は仰向けのまま、布団を鼻まで引っ張り上げて天井を見た。
四角くて白い天井に俺は囲まれている。
そして、俺はさっきの夢のことを思い出しながらジッとしていた。
“ ホント、変な夢だったよな・・・。
まあ、夢だから良かったけど・・・。
それにしても、あの婆さん、ヤダなァ。
また、明日、来るとか言ってたし・・・。
う~~~ん・・・・。
そうだ!
夢、見なきゃいいんだ。
疲れてグッスリ眠るとか・・・。
でも、体、動かせないしな・・・。
う~~~ん・・・・。
見なくて済む方法を医者に訊いて見ようかな・・・。”
俺は夢から解放される方法を繰り返し考えていた。
病室は静かになり、辺りは暗い。
“ 何だか暗いな・・・。”
お揚げ婆さんのとき感じた暗さより、暗さがす~っと濃くなったような感じがする。
“ 通路の電球が切れたのかな?”
俺は扉の四角い曇った窓を見た。
“ 明かりは点いてるけど・・・。”
廊下からは心臓の鼓動のようなモニター音が流れ込んで来る。
“ ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・。”
枕もとに置いてある時計の音も聞こえる。
“ コチ、コチ、コチ、コチ・・・・。”
俺は、手を伸ばして時計を探り、目の前に持って来た。
時計の針が見え難かったので、角度を変えて扉の窓から差し込む弱い光の方に向けた。
時間は午前2時30分を少し過ぎていた。
「 2時半か・・・。」
俺は、手だけ伸ばして時計を枕もとの台の上に戻した。
“ コチ、コチ、コチ、コチ・・・・。”
“ ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、・・・。”
廊下からのモニター音の方が少し早いようだ。
二つの音が一旦重なり、また、ずれて行く。
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