大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 5月7日 紅茶(2)

2017-05-07 19:51:45 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 5月7日 紅茶(2)





 雨はまだまだ激しく降っている。
風も轟々、外は真っ暗で心細い。

“ 早く来てくれないかな~。”

と思いつつ、ぼんやり時間をやり過ごしていると、サイドミラーにぼんやり近づいてくる明りが見えた。
 やっと助けが来たようで、Yはほっとした。
軽トラのような車両がYの車の後ろにぴったり止まり、中からレインコートを羽織ったスタッフが現れた。
 窓をコンコンと叩くので、少し開けると、

「 大丈夫ですか?」

と聞かれた。
 思っていたより若い、まだ青年のような男だったが、Yには救いの神に見えた。
 
「 早かったですね。」
「 出られますか?」
「 ドアが水圧で開かないみたいなんです・・・。」
「 じゃあ、窓から出ましょう、僕が引っ張るんで。」

手際よく、Yは無事に車から出された。
 スタッフの男は、自分と揃いのレインコートをYに羽織らせ、後ろのトラックまで誘導してくれた。
 Yはレスキュー車の助手席に乗せてもらった。
タオルも貸してくれた。
 スタッフの青年は、自分はYの車のエンジンとか車両の不具合状況を調べなきゃならないから、ここで少し待っていてくれと言った。

「 あ、これサービスです。
温まりますよ。」

青年はYに魔法瓶を差し出して、自分は豪雨の中出て行った。

“ 至れり尽くせりだな~。”

と感謝しつつ、Yは魔法瓶の中身を注ぐ。
紅茶だった。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 5月6日 紅茶(1)

2017-05-06 21:11:27 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 5月6日 紅茶(1)




 同僚Yが体験した話です。
数年前、大きな台風が来た夜のこと。
同僚Yは出張からの帰途、浸水する道路を必死で走行していた。
 時間は零時近く。
夕方過ぎから警報も出ていたので、その頃は車両もほとんどなく、数十メートルおきに置かれた外灯の明りだけが頼り。
視界は最悪。
 道路はどんどん水かさが増してくる。
Yはそれでも叩きつける雨の中、ワイパーをフル回転させながら必死に車を走らせていたんだけど、ついに前に進めなくなった。
 窓を開けて下を覗き込んでみると、タイヤがほぼ水に浸かっていて、ドアの隙間からはじわじわ雨水が染み出し始めていた。

“ もうこりゃ駄目だ。”

と悟ったYは、自分の入ってる自動車保険に、集中豪雨の際のトラブルみたいな条項があったことを思い出して、応援を呼んでみることにした。
 実際こういうのを呼ぶのは初めてだったから、ちょっと緊張しつつケータイを鳴らすと、深夜にも関わらず向こうはすぐ出た。
 丁寧な対応で、事情を話すと、レスキュー班をすぐ派遣してくれるとのこと。
Yは自分の現在地の詳細を伝え、

「 お願いします。」

と言って電話を切った。










童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------