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ウンシュウミカン「宮川早生」の全ゲノム配列を解読

2018-03-03 | 生物
 農研機構は国立遺伝学研究所と共同で、ウンシュウミカン「宮川早生(みやがわわせ)」の全ゲノム解読に成功したと発表した(2月20日)。カンキツ類のゲノム解読としては、世界で4番目であるが、ウンシュウミカンの解読としては世界初となる。
 ウンシュウミカンは日本を代表するカンキツで、国内カンキツ生産の約70%を占めている。
 優れた特性は、
 1、果実に種子がほとんどない
 2、手で簡単に皮をむくことができ食べやすい
 3、健康機能性を有するβ-クリプトキサンチンを高濃度に含有している
 ウンシュウミカンは今から400~500年前に九州地方で発生したとされる。その後日本各地で接木繁殖される過程で、さまざまな突然変異系統(枝変わり)が見出されて選抜されてきた。その早生の変異系統の一つ「宮川早生」は、果実特性が優れていることから各地の主要な生産系統となっているだけでなく、「ゆら早生」や「上野早生」など多数の変異系統が見出されている。品種育成にも積極的に利用され、清見や不知火(デコポン)など70を超える品種・系統の親となっている。
 ゲノム解読では、ゲノムの大きさが3億5,965万塩基対と解明。カンキツの基本染色体数と対応する9本の配列を得ることに成功した。ゲノム配列中に29,024個の遺伝子の存在を推定し、その85%について機能を予測することができ、その中から結実性等に関与する植物ホルモンのジベレリンの生合成・分解に直接関わる遺伝子など、農業上重要な遺伝子91個を特定した。従来知られていなかった遺伝子も複数特定、ウンシュウミカン固有の可能性のある1761個の遺伝子も見出した。
 今回の研究では、近年開発された複数の高速DNAシーケンサ技術と新たなデータ解析手法を活用し、部分的に解読された短い塩基配列を段階的に結合することにより、ウンシュウミカンでの全塩基配列の解読に成功した。
 本成果で得られた全ゲノム配列を利用すれば、ゲノムワイド関連解析を利用した果実形質や栽培性に関わる重要遺伝子の機能推定が高速化され、カンキツの品種育成をさらに効率化できると期待される。