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非常に粘り気の強い液体を射出できる装置を開発

2018-03-14 | 科学・技術
 東京農工大学川義之准教授と同大学院博士後期課程在籍の大貫甫氏、同大学院博士前期課程在籍の大井雄登氏らの研究チームは、「蜂蜜のような非常に粘り気の強い液体を射出できる装置を新たに開発した」と発表した(2月22日)。この成果は、3Dプリンタ・金属配線などの次世代インクジェット技術や無針注射・細胞印刷など幅広い分野での応用が期待される、と言う。
 液体を射出する技術の既存の手法では、液体を小さな穴から押し続けることで液体ジェットを射出している、水のような粘り気のない液体に限定されていた。また、液体塗布時の滲みや希釈インクによる発色性の悪化など品質の低下が非常に大きな問題となっている。
 同研究では、液体射出の駆動力として、液体容器に打撃を与える手法に着目した。開発した装置では、液体の入った容器内に細管を挿入し、細管内部の液面を下げる工夫を加えた。これにより、細管内の液体を非常に効率良く加速できることが発見された。その結果、水の1,000倍の粘度を持つ液体やマニキュアのような特殊な液体の射出に成功。さらに、この高粘度液体の射出メカニズムが、高速度カメラおよび数値シミュレーションにより明らかにされたため、射出の様子も理論的に予測可能となった。
 本研究で開発した装置は、3Dプリンタや金属配線などに用いられる液体樹脂や金属など非ニュートン流体と呼ばれる特殊な液体も射出できる見込みがある。さらに、生体液などの小さな粒子を含んだ液体など、様々な液体の射出を行える同装置は、生体印刷や無針注射など医療分野の技術発展への貢献も期待できる。