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2019年日本国際賞、らせん高分子開発の岡本佳男氏と持続的土壌管理手法のラタン・ラル氏に

2019-02-15 | 学問
 国際科学技術財団は、2019年(第35回)の日本国際賞を、岡本佳男氏とラタン・ラル氏に贈ることを決めた(1月16日)。
 「物質・材料、生産」分野
 岡本佳男博士(78歳、日本)
  名古屋大学特別招聘教授
  中国ハルビン工程大学 特聘教授
 らせん高分子の精密合成と医薬品等の実用的光学分割材料の開発への先駆的貢献。
 物質を形作る分子のなかに、右手と左手のように、作りは同じだが鏡に映した像のように形が対称な2種類をもつものがある。これを「鏡像異性体」という。
 グルタミン酸ナトリウムでうま味を感じるのは、その一方の形だけで、サリドマイドのように、片方が薬となっても、もう片方が重い副作用を及ぼすこともある。
 したがって、片方だけを選択的に合成、分離することが、鏡像異性体の利用には欠かせない。
 岡本氏は、「らせん高分子」とよばれる鏡像異性体で片方の形だけを作る方法を開発。これを筒に詰めて片方の端から鏡像異性体を流し込むと、一つの種類だけが「らせん高分子」にひっかかって流れにくくなることを確認。これが、鏡像異性体を高速に精度よく分離する現在の「高速液体クロマトグラフィー」の基礎になった。医薬品の開発などに広く使われている。
 「生物生産、生態・環境」分野
 ラタン・ラル博士(74歳、米国)
  オハイオ州立大学特別栄誉教授
  炭素管理・隔離センター センター長
 食糧安全保障強化と気候変動緩和のための持続的土壌管理手法の確立。
 土壌に含まれる栄養分としての有機物が耕作で流れ出すのを防ぐため、土を耕さないで農作物を育てる「不耕起栽培法」を確立し、世界に普及させた。
 有機物の多くは、植物が大気中の二酸化炭素から「光合成」で作り出したものなので、土壌中に有機物をとどめることは、大気中の二酸化炭素を土壌中に取り込んで固定することにもなる。そのため、二酸化炭素の増加による地球温暖化の進行を、いくらかでも遅らすことができる。食糧の増産と地球環境の保護という両立しにくい事柄に解決の道を開いた点が評価された。
 ◆日本国際賞(Japan Prize)
 日本国際賞は、「科学技術において、独創的・飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に大きく寄与し、人類の平和と繁栄に著しく貢献した」人物に対して、国際科学技術財団が授与する賞である。
 受賞対象は「物理、化学、工学」と「生命、農学、医学」の二つの領域で、受賞対象分野は1年に2つの分野である。受賞者には、各分野に賞金5000万円が贈られる。受賞者は生存者のみ。
 日本にもノーベル賞に匹敵するような賞が必要だとして、松下幸之助が基金(私財など約30億円)を提供。1983年に政府内で各機関からの協力が閣議決定された。

 今日の天気は、雲が多い晴れ。風が弱いので、厳しい寒さは感じない。
 朝起きたら、朝日が綺麗。毎日、朝日が出る場所が少しずつ変わる。