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がん診断や治療に、負担が極めて小さいリキッドバイオプシー

2019-02-19 | 健康・病気
 がんの治療法を選ぶには、生検(Biopsy:バイオプシー)によるがんの組織診、細胞診が一般的である。生検は、手術や内視鏡検査などにより行うことが多く、腫瘍部に穿刺(せんし)して組織や細胞を採取する。直接臓器から採る必要があるため、患者の負担が大きいという問題がある。病状や年齢によっては体力的に生検を諦めざるを得ない場合もあり、肺やすい臓など生検自体が難しい臓器もある。
 最近、がん治療や治療薬の選び方が変わろうとし、それが”リキッドバイオプシー”である。”リキッドバイオプシー”とは、血液など体液(Liquid:リキッド)内のがん由来の遺伝子変化などの情報を調べて、がんの診断や治療法の選択、治療効果の予測を行う手法である。
 ”リキッドバイオプシー”は、10~20ccの採血で済むため、患者の負担が極めて小さい。また、血液採取は何度でも行えるため、がんが変化し抗がん剤の耐性を得た場合も、各段階で治療薬を適切に選ぶことが可能になる。
 血液からがんの情報がわかる
 リキッドバイオプシーの手がかりは、大きく分けて3つある
 1、血中に流れ出てくるがん細胞、血中循環腫瘍細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)を調べる
  腫瘍からわずかに血液中に漏れ出して体内を循環しているがん細胞
 2、がん細胞から流れ出たDNAのかけらを調べる
  血液中にわずかに漏れ出したがん由来のDNA、血中循環腫瘍DNA(ctDNA:circulating tumor DNA、cfDNA:cell free DNA)。
 3、がん細胞が分泌したエクソソームの中のマイクロRNAを調べる
  細胞はエクソソームという分泌物を出す。血液だけでなく、尿や唾液にも含まれる。
  将来、尿や唾液をサンプルとする非侵襲の検査でがんを診断できる可能性がある
 ”リキッドバイオプシー”は、医療経済面でも効果的。分子標的薬などの抗がん剤は高額だが、事前に治療効果予測が立てられるから。免疫チェックポイント阻害薬も、リキッドバイオプシーでより効果的に使われる可能性があるという。