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2018年度日本学士院賞に松村氏・豊島氏ら9人、エジンバラ公賞は諏訪氏に

2018-03-13 | 学問
 日本学士院は、学術上の優れた研究業績に贈る2018年度日本学士院賞に、豊島近・東京大教授、松村剛・東京大教授ら9人を選んだと発表した(3月12日)。自然保護や種の保全の基礎となる研究に贈られるエジンバラ公賞には、諏訪元・東大総合研究博物館長を選んだ。

 ◆受賞者と授賞理由(敬称略)
 日本学士院賞・恩賜賞
 松村剛(58歳):東大教授、中世フランス語。中世フランス語の辞書を独力で編纂
 豊島近(63歳):東大教授、生物物理学。細胞のイオンポンプタンパク質の構造を解明
 日本学士院賞
 三佐川亮宏(57歳):東海大教授、ドイツ中世史。史料からドイツ史の開始期を特定
 楠岡成雄(64歳):東京名誉教授、数学。確率解析と数理ファイナンスの研究
 丸岡啓二(64歳):京都大教授、有機合成化学。アミノ酸の大量合成に有用な触媒を確立
 相田卓三(61歳):理化学研究所副センター長、高分子化学。強力なゲル状新素材を開発
 堀江武(75歳):京都大名誉教授、作物学。地球温暖化でアジアの水稲生産に及ぶ影響を解析
 長野哲雄(68歳):東大名誉教授、薬学・ケミカルバイオロジー。蛍光の発光強度の制御
 清野進(69歳):神戸大特命教授、代謝学。血糖を調整するインスリン分泌の仕組みを解明
 日本学士院エジンバラ公賞
 諏訪元(63歳):東大教授、自然人類学。初期人類の化石発見など人類の起源と進化の研究
 ◆日本学士院賞
 日本学士院は、学術上特にすぐれた論文・研究業績に授賞事業を行っている。
 学士院賞は、日本の学術賞としては最も権威ある賞で、1911年創設。
 日本学士院賞の恩賜賞は、授賞される賞から特に優れたものを皇室の下賜金で授賞される。
 日本学士院エジンバラ公賞も日本学士院の賞である。日本学士院の名誉会員となられたエジンバラ公フィリップ殿下にちなんで創設(1987年)され、下自然保護・種の保全の基礎となる優れた学術研究に対して隔年に授与される。

日本は研究の生産性で劣り、研究開発投資が競争力の向上となってない

2018-03-12 | 学問
 エルゼビア(オランダ・アムステルダム、学術出版大手)は、日本の研究活動を主要国と比較した報告書をまとめた。報告書は主に2012年~2016年に世界で発表された論文数から日本の研究活動を分析した。
 日本の官民合わせた研究開発投資の総額は米国・中国に次ぐ世界3位だが、一定額あたりの論文数でみると主要9ヵ国のなかで最低水準であることがわかった。
 研究開発投資額(100万ドル)あたりの論文数を計算すると、日本は0.7となる。
  カナダ(3.8)
  英国(3.7)
  イタリア(3.6)
  フランス(1.9)
  ドイツ(1.5)
  米国(1.2)
  中国(1.1)や韓国(0.9)にも後れ
 1本の論文を書くのに日本はカナダ・英国の5倍以上の研究開発費を使っている。生産性が低く、研究開発投資を増やしても競争力の向上につながらない・・。
 日本の低迷について、報告書では国際共同研究の割合の低さを原因に挙げている。先端研究は、優れた研究者が知恵を持ち寄る国際共同研究が成果につながりやすくなっている。各国とも積極的に海外との研究に乗り出している。

 朝から晴れ。気温は高くなく、最高気温10℃以下。9時頃に家を出たら、風がとても冷たい。
 散歩で、空き地を見たら”オオイヌノフグリ”の花が咲き出している。気温は低いけど、春が近くだ。緑葉が絨毯の様に広がり、これに白青の水玉模様を散らした様に花が咲いている。花は4枚の萼・4枚の青紫色の花弁(根元で纏まり、一つの花冠となる)で、ゴマノハグサ科クワガタソウ属の特徴である、2本の雄しべ・1本の雌しべ。
 ”オオイヌノフグリ”は、花が小さい”イヌノフグリ”より大きい花なので名付けられたようだ。”イヌノフグリ(犬陰嚢)”は”オオイヌノフグリ”と同科同属で、春に薄桃色の小さな花(径3mmほど)が咲く。かつては道端などで普通に見られた雑草であったが近年大幅に減少し、レッドデータブックでは絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定されている。”イヌノフグリ”の名は、二つ付いた果実の様子が犬のフグリ(陰嚢:いんのう)に似ているから・・小さなフグリだ。
 オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)
 別名:天人唐草(てんにんからくさ)、星の瞳(ほしのひとみ)、瑠璃唐草(るりからくさ)
 英名:Bird's eye
 ゴマノハグサ科クワガタソウ属
 越年草
 ヨーロッパ原産、明治初期に渡来した帰化植物
 開花時期は2月~6月 
 花色はコバルトブルー、花径は8mm程
 花は日が当たると広げ、日が陰ると閉じる


日本に戦争の危険が「ある」85.5%、内閣府世論調査

2018-03-11 | 世相
 内閣府は、自衛隊と防衛問題に関する世論調査の結果を公表した(3月10日)。調査は1月11日~21日、全国18歳以上の男女3千人から、回答は1,671人(55.7%)。
 日本が戦争に巻き込まれる危険性について
  どちらかといえば危険がない・危険はない:計10.7%
  ある・どちらかといえばある:計85.5%
   18~29歳では94.8%に達した
   前回調査(2015年1月)から10%増え、1969年の調査開始以降で最大
 危険があると思う理由は
  国際的な緊張や対立があるから:84.5%
  国連の機能が不十分だから:28.7%
 防衛問題に対する関心について(複数回答)
  北朝鮮による核兵器開発や弾道ミサイル開発などの朝鮮半島情勢:68.6%
  中国の軍事力の近代化や海洋における活動:48.6%
  国際テロ組織の活動:39.7%
 自衛隊に対する印象は
  良い:89.8%
  悪い:5.6%
 自衛隊に期待する役割(複数回答)
  災害派遣:79.2%
 外国から侵略された場合の対応は
  自衛隊に参加して戦う:5.9%
  一切抵抗しない:6.6%

 今日は、東日本大震災から7年目である。
 多大な災害が発生したが、全国から応援・援助など頂きました。
 ありがとうございました
 東日本大震災
 地震発生:2011年(平成23年)3月11日(金曜日)14時46分18秒(日本時間)
    宮城県牡鹿半島の東南東沖130km(北緯38度06.2分、東経142度51.6分、深さ24km)を震源
    地震の規模はモーメントマグニチュード (Mw) 9.0(日本周辺における観測史上最大の地震)
    震源域は広大で、岩手県沖から茨城県沖までの南北約500km、東西約200kmのおよそ10万km2に及ぶ
    最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7
     宮城・福島・茨城・栃木の4県36市町村と仙台市内の1区で震度6強を観測
     観測された最大加速度は宮城県栗原市のK-NET築館(MYG004)観測点で、2933ガル
 震災による死者・行方不明者(2016年2月10日時点)
    死者:15,894 行方不明:2,562
 建築物の全壊・半壊は合わせて40万2,699戸
 震災発生直後のピーク時には避難者は40万人以上
  (2018年2月13日時点の避難者等の数は約7万3,000人)・・避難が長期化している

健康寿命(2016年)は、男性72歳・女性74歳

2018-03-10 | 健康・病気
 厚生労働省は、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だったと公表した(2月9日)。3年に1度の国民生活基礎調査(大規模調査)を使って推計し、前回(2013年)と比べ男性が0.95歳、女性は0.58歳延びた。
 ○健康寿命
 2001年 男性69.40歳  女性72.65歳
 2007年 男性70.33歳
 2016年 男性72.14歳  女性74.79歳
 ○平均寿命
 2016年 男性80.98歳  女性87.14歳
 ○不健康な期間
 平均寿命-健康寿命=不健康な期間
 この間は医療や介護が必要となる可能性がある
  男性8.84年  女性12.35年
   概ね、10年程度の期間かな・・・つらい
 ◆都道府県別の健康寿命 (熊本県を除く)
 男性
 1、山梨 73.21歳 (2013年1位)
 2、埼玉 73.10  (21)
 3、愛知 73.06  (12)
 4、岐阜 72.89  (19)
 5、石川 72.67  (4)
 ・
 44、徳島 71.34  (47)
 45、愛媛 71.33  (36)
 46、秋田 71.21  (39)
 女性
 1、愛知 76.32歳 (2013年18位)
 2、三重 76.30  (8)
 3、山梨 76.22  (1)
 4、富山 75.77  (14)
 5、島根 75.74  (38)
 ・
 44、京都 73.97  (45)
 45、北海道 73.77  (26)
 46、広島  73.62  (46)

 今日は晴れ~曇。雪が降る予報ではない。
 散歩道にある、梅田川沿いの”サンシュユ”、枝先に黄色の蕾か花か・・付きだした。蕾が多いが開いている花もある。もう少ししたら満開となる。春の到来を知らせる植物だ。
 秋に果実となり、果実はグミに似た楕円形で光沢がある。この様子から、別名に秋珊瑚(あきさんご)がある。その他の別名に、春黄金花(はるこがねばな)があり、木全体を覆う花が早春の光を浴びて黄金色に輝くから。江戸中期に朝鮮から渡来し、薬用植物として栽培された。今でもそのまま食べ、滋養・強壮の薬効がある山茱萸酒を作る。名の”サンシュユ”は中国名「山茱萸」を音読みしたもの。茱萸とはグミのこと。
 サンシュユ(山茱萸 )
 別名:春黄金花(はるこがねばな)、秋珊瑚(あきさんご)
    Japanese cornel(ジャパニーズ・コーネル)
 ミズキ科ミズキ属
 原産地は中国・朝鮮、薬用植物として
  江戸中期(享保七年:1722年)に朝鮮から渡来
 落葉小高木
 開花時期は2月~4月
 秋にグミのような赤い実に熟す


少年の刑法犯摘発、戦後最少を更新、振り込め詐欺は増加

2018-03-09 | 社会・経済
 警察庁のまとめで、2017年に全国の警察が刑法犯で摘発した14歳~19歳の少年は、2万6797人(前年比15.0%減)だった(3月8日)。14年連続の減少で戦後最少を更新した。一方で、振り込め詐欺への関与で摘発されるケースが再び増加した。特別法犯では、若年層への浸透が懸念される大麻事件による摘発者数が4割増えた。
 ○刑法犯の摘発者数減少
  要因の一つが、窃盗犯の万引きや自転車盗などの「初発型非行」の減少。
  摘発者数に占める割合は2011年は7割だったが、2017年は6割弱で前年比15.5%減の約1万5千人だった。
  罪種別では殺人などの凶悪犯や、暴行・傷害などの粗暴犯も1割以上減った
 ○増加傾向
  詐欺などの知能犯による摘発は899人で7.9%増えた。
  知能犯では振り込め詐欺に絡む摘発者が35.8%増の478人と、2年ぶりに増加。
  現金の受け取り役の「受け子」が多くを占め、最年少は14歳の男子中学生。
 ○特別法犯
  大麻事件による摘発者が41.4%増の297人で、2013年(59人)の5倍になった。
  内訳は有職少年が155人、無職少年が67人だが、高校生が65.6%増の53人と増加。
  警察庁幹部は「覚醒剤などと比べて安く入手でき、少年でも手を出しやすいのかもしれない」と警戒している。
 因みに、警察庁のまとめ(暫定値、1月18日発表)で分かった。
 2017年に全国の警察が認知した刑法犯は91万5111件で、戦後初めて100万件を割り込んだ2016年をさらに8万1009件下回って過去最少を更新した。ピークは2002年の約285万件。
 ○殺人や強盗などの重要犯罪が1万889件で、前年から657件減った。
  殺人は920件で25件増、放火も959件で45件増。
  人身売買は239件で11件増。
 ○窃盗犯は65万5541件で、前年より6万7607件減った。

 朝は雨が降っていた。時々小雨になる、傘を差して散歩に。
 ”オウバイ”に花が咲きだした。名(オウバイ:黄梅)に梅と付くが、梅(バラ科サクラ属)ではなくジャスミン(モクセイ科ジャスミン属)の仲間である。ジャスミン属ではあるが花に香りはない・・?。
 名の由来は、黄色の花が梅に似る、咲く時期が梅と同じ頃、からと言う。花・姿が良く似ているものに、”ウンナンオウバイ(雲南黄梅)”とか”オウバイモドキ”と呼ばれるのがあるが、これらは常緑樹。オウバイは落葉樹、花期には葉はまだ出ない。
 オウバイ(黄梅)
  中国では、迎春花(げいしゅんか)と呼ばれる
   旧正月(2月)頃に咲き出すから
 モクセイ科ソケイ(ジャスミン)属
 落葉性半つる性低木
 中国北部原産、15世紀末に渡来
 開花時期は2月~4月、花期には葉はまだ出ない
 花色は明るい黄色、花径は2.5cm位
 花の形は高杯形で、梅に似る
 花には一重と八重がある


夏の北極、15年間で約2℃上昇、ツンドラ域の乾燥化進む

2018-03-08 | 気象
 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)北極環境変動総合研究センターの鈴木和良主任技術研究員らの研究グループは、北極圏陸域の約8割の面積を占めるツンドラ域(以下「北極ツンドラ域」という)を対象として、衛星観測データと陸面再解析データの統計解析を行った結果、夏の気温が15年間(2002年から2016年まで)約2℃上昇していることを明らかにした。
 年平均気温には温暖化の兆候がないにも関わらず、北極海周辺に広く「夏季の温暖化」が進行していることを示した初めての成果である。
 温暖化に伴って北極ツンドラ域からの蒸発散量が増加し、過去15年間で水の高さで2cm(約1,106億t)の乾燥化を引き起こしていることも併せて明らかにした。北極ツンドラ域での乾燥化は湿地面積の減少により、地表面の温度を増加させ、温暖化を加速すると考えられる。
 永久凍土分布の異なる北極大河川を対象とした解析から、永久凍土の存在が水循環や温暖化の加速を緩和していることを明らかにした。
 本研究は夏季の北極温暖化の実態解明につながり、永久凍土の役割解明を通して、将来の北極域の災害予測及び水資源管理への寄与も期待される。さらに北東ユーラシア地域は日本の西側(風上)に位置するため、そこでの温暖化や水循環の変化は日本の気候にも影響を及ぼすことが予想される。
 ◆北極圏の陸地永久凍土
 北極圏の陸地面積は約700万km2、北極ツンドラ域は約553万km2とおよそ8割の面積を占めている。北極ツンドラ域は、地下に永久凍土が拡がる寒冷な湿原地域であり、その約8割は連続永久凍土帯となっている。
 永久凍土
 連続した2年間以上0℃以下の温度状態にある土地。
 表層は夏に融け、冬に凍る活動層となる。

 今日の天気は曇。気温は低く、最高気温数℃。彼岸までは、三寒四温か。
 川沿いの道を歩いていたら、ボーリング機械が動いていた。深さ7・8m程だから、これまで達する杭を設置するのかな。


高齢者の寿命を縮めるのは、やせ過ぎ・人とのつながりが少ない・喫煙の多さ

2018-03-06 | 日記・エッセイ・コラム
 東北大学大学院歯学研究科の相田潤准教授らの日英共同研究チームは、高齢者の長寿に寄与する要因を明らかした。
 65歳以上の日本人13,176人、英国人(イングランド在住者)5,551人を約10年追跡したデータを分析した。その結果、日本人は英国人よりも、男性は132日、女性は319日、長く生きている。
 比較データは、
 男性の場合
  ・家族とのつながりが多い日本人が、英国人より105日長生きしている。
  ・友人とのつながりが多い英国人が、日本人より45日長生きしている。
  ・喫煙習慣の少ない英国人が、日本人より47日長生きしている。
  ・低体重が少ない英国人が、日本人より212日長生きしている。
 女性の場合
  ・喫煙習慣の少ない日本人が、英国人より198日長生きしている。
  ・低体重が少ない英国人が、日本人より129日長生きしている。
 これより、日本人で最も改善の余地があるのは、男女ともに「やせ過ぎ」(低体重)から脱却することであり、男性では友人との交流を増やし、喫煙を減らすことにより一層の長寿が期待できる。英国(日本)で実現できている要因は、日本(英国)でも改善しやすい要因であり、これらの知見を活かすことで、両国でより効果的な健康政策が立案できると考えられる。
 本研究成果は2018年1月19日に老年医学の国際科学雑誌Gerontologyに電子版が掲載された。
 ◆健康寿命が延びる、でも平均寿命に比べて延びが小さい
 健康寿命(日常生活に制限のない期間)は、平成25(2013)年時点で男性が71.19年、女性が74.21年となっており、それぞれ平成13(2001)年と比べて延びている。
 しかし、平成13(2001)年から平成25(2013)年までの健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は、同期間における平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べて小さい。

 春が近い。でも今日はまだまだ冷たい、これから三寒四温かな。
 畑に行ったら、黄色の花、”キバナサフラン”と呼ばれる”クロッカス”だ。花被片が6枚、雄しべが3本、中央の雌しべは柱頭が糸状に3つに分かれている。
 ”クロッカス(英: crocus)”は、アヤメ科クロッカス属の総称で、世界に75種程ある。園芸上、春咲き種をクロッカス、秋咲き種をサフランと呼ぶのが一般的のようだ。”サフラン”を秋咲きクロッカスと呼ぶこともある。
 お花の傍に、”ムスカリ”の花芽が見えた。
 キバナサフラン
 アヤメ科サフラン属
 開花時期は2月~4月
 色々な花色の品種がある、黄・白・青・紫など
 葉は細長く、真中に白い筋が入っている


繰り返し利用可能な、新しい光硬化性接着剤を開発

2018-03-05 | 科学・技術
 産業技術総合研究所(産総研)機能化学研究部門スマート材料グループ 秋山陽久主任研究員は、接着と脱着を制御でき、繰り返し使える光硬化性接着剤を開発した。2018年2月14日東京ビッグサイトで開催されるnano tech 2018 第17回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議で発表された。
 この接着剤は、枝分れした構造の糖アルコールと、光に応答してお互いに結合する複数のアントラセンを組み合わせた透明な液状物質を用いている。液状物質は糖アルコール(D-ソルビトールなど)に導入した構造で、室温で液体であり基材へ容易に塗布できる。塗布後の膜に、吸収端の波長にあたる400~420 nmの光を照射すると、分子間でアントラセン基の2量化による架橋反応が起こって硬化し、着色も生じないで透明の硬化膜となる。
 せん断接着強度は、アゾベンゼン系の約5倍で、ガラス基板の破断強度に達した(>5 MPa)。接着状態は、100℃でも安定に保たれたが、150℃以上に加熱すると、架橋部分の熱解離により液化し、容易に脱着できた。液体状態に戻った化合物に再び光照射を行うと再接着も可能であり、この光硬化(接着)、熱液化(脱着)のプロセスは、少なくとも5回以上繰り返すことができた。
 この接着剤の利用で、接着のやり直しや接着後の材料の再利用などが可能になり、新しい複合材料プロセスの実現が期待される。
 ◆糖アルコール
 糖アルコールの誘導体、水酸基(OH基)を複数個もつ。
 水酸基(OH基)の個数や立体構造によって名前が変わる。ソルビトールの化学構造は、6つの水酸基をもつ。
 ◆アントラセン
 多環芳香族化合物の名称。光を吸収すると、別のアントランセンと結合する。
 2つのアントランセンが結合(2量化)してできる新たな分子を2量体と呼ぶ。形成した2量体は、室温で安定であるが、温度を高くすると、分子をつなぐ結合が選択的に切れて(解離)、元のアントランセンに戻る。
 ◆アゾベンゼン系
 室温で光による液化-固化を繰り返す材料、化学構造は割愛
 ◆エステル結合
 分子をつなぐ結合のひとつで、糖アルコールの水酸基(OH基)とカルボン酸(COOH基)から水が脱離し、化学結合したときの結合部分の名称。

血液中で血栓を溶かす作用を妨げる新リポタンパク質発見

2018-03-04 | 医学
 秋田県立大の小西智一准教授と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の高橋洋子上席研究員は、動脈硬化症の原因となり得るリポタンパク質を発見し、「LAC(LDL-Antiprotease Complex)」と命名した。
 研究チームは、ラットの血清をゲルろ過で分析。物質にダメージを与えずに分離できる手法を用い、リポタンパク質が従来考えられていた4種類ではなく、今回発見したLAC1とLAC2を含む9種類であることを確認した。
 リポタンパク質はタンパク質と脂質の複合体で、食事から吸収した油脂や肝臓で作られた脂質を血液内で運ぶ。4種類あるうち、肝臓で作られたコレステロールを運ぶのが低密度リポタンパク質(LDL)。体内でコレステロールを回収し、肝臓に運ぶのが善玉コレステロールの高密度リポタンパク質(HDL)である。動脈硬化症の一因に、脂質と死んだ細胞などが固まったアテロームの蓄積があり、これまではLDLが要因とされてきた。
 今回発見のLAC1とLAC2は、コレステロール全体の3~4割を占めることが分かり、血栓を溶かす作用を妨げるタンパク質の含有量も多かった。超遠心分離法では、比重の近いHDLの一部として検出されていた可能性が高い。
 小西准教授は、「善玉コレステロールとされていたHDLの中にLACが含まれていた。今回はラットの実験だが、ヒトにもあると予想される。簡単に測定できるようになれば動脈硬化への効果が確認できるのではないか。」と話している。
 ◆ゲルろ過
 細かい穴の開いた多孔質ゲルの粒を詰めた水管に、分離したい物質を通して分離する手法。
 大きな物質はゲルの穴に入らないため、早く通過する。一方、細かい物質はゲルの穴に入り込みながら水管を通るため、より長く時間がかかる。
 ◆血栓で血管が詰まり、血流がストップする
 これには、心筋梗塞や脳梗塞などの病気がある。
 血栓の原因となるのは、Fibrin(フィブリン)で、傷ができた時に固まって止血する役割があり、これが網目状になって固まると血栓ができる。
 フィブリンが固まりやすくなる理由は、
 1、心房細動によって、血液が淀む
  通常心臓は規則的に1分間に60~100回拍動する。心房細動になると、心臓は不規則に300回以上拍動する。
 2、動脈硬化により、血管が傷つくと、傷を治そうとして固まりやすくなる
  フィブリンは傷を治そうとして固まりやすい状態になる。
  そのフィブリンが心房細動によって、淀みやすくなった心臓に戻ると、巨大血栓を作る

ウンシュウミカン「宮川早生」の全ゲノム配列を解読

2018-03-03 | 生物
 農研機構は国立遺伝学研究所と共同で、ウンシュウミカン「宮川早生(みやがわわせ)」の全ゲノム解読に成功したと発表した(2月20日)。カンキツ類のゲノム解読としては、世界で4番目であるが、ウンシュウミカンの解読としては世界初となる。
 ウンシュウミカンは日本を代表するカンキツで、国内カンキツ生産の約70%を占めている。
 優れた特性は、
 1、果実に種子がほとんどない
 2、手で簡単に皮をむくことができ食べやすい
 3、健康機能性を有するβ-クリプトキサンチンを高濃度に含有している
 ウンシュウミカンは今から400~500年前に九州地方で発生したとされる。その後日本各地で接木繁殖される過程で、さまざまな突然変異系統(枝変わり)が見出されて選抜されてきた。その早生の変異系統の一つ「宮川早生」は、果実特性が優れていることから各地の主要な生産系統となっているだけでなく、「ゆら早生」や「上野早生」など多数の変異系統が見出されている。品種育成にも積極的に利用され、清見や不知火(デコポン)など70を超える品種・系統の親となっている。
 ゲノム解読では、ゲノムの大きさが3億5,965万塩基対と解明。カンキツの基本染色体数と対応する9本の配列を得ることに成功した。ゲノム配列中に29,024個の遺伝子の存在を推定し、その85%について機能を予測することができ、その中から結実性等に関与する植物ホルモンのジベレリンの生合成・分解に直接関わる遺伝子など、農業上重要な遺伝子91個を特定した。従来知られていなかった遺伝子も複数特定、ウンシュウミカン固有の可能性のある1761個の遺伝子も見出した。
 今回の研究では、近年開発された複数の高速DNAシーケンサ技術と新たなデータ解析手法を活用し、部分的に解読された短い塩基配列を段階的に結合することにより、ウンシュウミカンでの全塩基配列の解読に成功した。
 本成果で得られた全ゲノム配列を利用すれば、ゲノムワイド関連解析を利用した果実形質や栽培性に関わる重要遺伝子の機能推定が高速化され、カンキツの品種育成をさらに効率化できると期待される。

大学生の読書時間、5割超がゼロ

2018-03-02 | 受験・学校
 全国大学生活協同組合連合会は、2017年の学生生活実態調査を発表した(2月26日)。1日の読書時間について「ゼロ」と回答した大学生が53.1%(前年比4%増)となり、調査項目に入った2004年以降で初めて半数を超えた。
 調査は昨年(2017年)10月~11月、全国30の大学生協で実施。男女1万21人の回答を集計した。
 これによると、1日の読書時間は、平均は23.6分で
  0分:53.1%
  30未満:10.2%
  60分未満:17.0%
  120分未満:13.0%
  120分以上:5.3% 調査開始から4.5~7.5%で推移していた
 ゼロと答えた学生は5年前(34.5%)から18.6%増えた。読む層と全く読まない層の二極化が進んでいる
 1ヵ月の書籍費は
  自宅生:1340円
  下宿生:1510円 支出に占める割合は1970年以降、最低

 今日の天気は大荒れ。風がとても強く、小雨・小雪が舞う。
 明日(3月3日)は桃の節句、雛祭り。耳(みみ)の日(昭和31年に日本耳鼻咽喉科学会制定)でもある。
 ”節”とは古代(唐)中国の暦からの季節の節目である。この中で奇数(陽)の重なる月日が(陰)となるとし、5節句を邪気を祓う行事とした。1月1日(元日)は別格で1月7日とし、11月11日もこの”節句”とはなるが「五行思想:万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなる」との対応から暦にはない。”節句”は奈良時代に伝来し、平安時代から行事があった。
 ★日本の五節句
 1月7日 人日(じんじつ)の節句      七草の節句
 3月3日 上巳(じょうし、じょうみ)の節句 桃の節句、雛祭り(女子の節句)
 5月5日 端午(たんご)の節句       菖蒲の節句   (男子の節句)
 7月7日 七夕(しちせき、たなばた)の節句 七夕祭り
 9月9日 重陽(ちょうよう)の節句     菊の節句
 因みに、日本人形協会では昭和天皇の即位以来、男雛を向かって左に置くのを「現代式」、右に置くのを「古式」としている。
 宮城野区文化センターで雛祭りの雛壇

がん10年生存率、昨年より1.3ポイント改善し55.5%に

2018-03-01 | 健康・病気
 国立がん研究センターは、がん患者の10年生存率は全体で55.5%だったと発表した(2月28日)。昨年の調査より1.3%上昇した。尚、生存率は昨年の58.5%より低くなっているが、新しい計算法で計算し直すと、昨年の数値は54.2%になるという。 調査対象は、全国がんセンター協議会(全がん協)に加盟する20施設で、2001~04年にがんと診断された5~94歳の患者5万7147人である。なお、今回から計算法を変えた。
 ◆主ながんの進行度別10年生存率(%)
 2001~2004年に診断された患者
   全症例  1期   2期  3期  4期
 胃  64.3  89.7  52.2  36.2  6.0
 大腸 65.9  90.8  77.5  70.6  9.5
 肝臓 14.6  25.7  15.9  7.5  2.5
 肺  30.4  63.3  28.5  13.2  2.8
 乳  82.8  95.4  86.0  57.8 15.8
 「早く発見するほど生存率は高い。がん検診を適切に受けるなどしてほしい」と言う。
 ◆がんの10年生存率(%)
 2001~2004年に診断された患者
 前立腺がん 92.4 (5年生存率:100%)
 甲状腺がん 86.0 (5年生存率:92%)
 乳がん   82.8 (5年生存率:94%)
 子宮体がん 79.0
 子宮頸がん 69.8
 大腸がん  65.9
 胃がん   64.3
 肺がん   30.4
 胆のう胆道がん 15.2
 肝臓がん  14.6
 膵臓がん  5.0
   5年生存率は、2007~09年に32施設でがんと診断された13万2869人が対象
   がん全体では67.6%
 ◆がんのがん10年生存率
 日本の国民病は、2人に1人がかかるがん。男性では3人に1人、女性では4人に1人が、がんで命を落とす、とされる。
 胃がんや大腸がんは、最初の5年間は生存率が下がるが、その後ほぼ横ばいとなる。5年目以降はほとんど再発しないとみられ、治癒の目標となる。しかし、肝臓がんや乳がんは経過5年でも下がり続け、再発リスクが高いことがわかった。
 これより、「これらのがんは長期にフォローアップし、再発をチェックする必要がある」と言う。