天気 晴
申し分のない秋晴れ、風もないようでお散歩日和。自分の運のなさを嘆くのにもうんざりしているので、もう言うまい、と思ったり。今、生き延びている運の良さを思うことだ。
老人ホームにもハロウィンはやってくる。日本へ本格的にハロウィンが流行し始めたのは20年くらい前なのだそうだ。昨夜の夜の報道番組で、20年前のハロウィン当日の渋谷スクランブル交差点の夜の映像を流していた。ちらほらと仮装の人が居て、周囲には場違いな感じで無視されていた。私は今も興味なし。でも、飾りつけくらいは眺めて楽しむ。
そんな日々、楽しみといえば食事しかなくて、今日の昼食は久々の海鮮丼だった。豪華な食事が出るのねえ、と誤解しないで欲しい。食べたい人は別料金を支払う。刺身を嫌いな人も居る訳で。写真に撮るほどには豪華ではないので撮ったことはない。貝やイカなどの固い刺身は使わないから、ちょっともの足りないが、イクラも入っていてまあまあの御馳走だ。
退院して普通食が食べられることになってから、改めて食事に感謝するようになった。退院してすぐは、ご飯だけは柔らかいものにしていたが、高齢者の施設だから固いご飯は普段から出ない。たまに、何かの催しの日に松花堂弁当にお赤飯が入っているが、その柔らかいこと・・物足りない。そんなことなので、良く噛めば問題なし。
そろそろ値上げを言い渡されそうな食事料金、私としてはあと2万円くらい値上げして、内容を充実させて欲しいが、このランクの有料ホームではこれ以上は無理なのだろう。不味くはない。かといって美味しくもない。時々の御馳走は美味しいこともあるけれど。ただ、化学調味料や添加物を異常に嫌って暮らしていた私が、不愉快になるような人工的な味のないのが有難い。無論、塩分は病院の「減塩食」に近いので、自宅から直接入居した人にはその不満が大きいようだ。必ず佃煮やら梅干しを持参する男性は多い。私と一緒のテーブルの女性は醤油差しと佃煮を必ず持参、何にでも醤油を少し掛ける。味を見てからにすればいいのに・・と思うけれど、人は人、自分は自分。余計なことを言い合わないのがストレス回避になる、と学んだ。
コロナ隔離後、私の前の席で食事をするのは、ほぼ全盲の車椅子の方だ。高齢になってからの失明のようだが、過去をあれこれ聞き出すことも私は自分からはしないのでよく解らない。でも、同じ4階だしことばは交わしてきた方なので、不愉快なことは殆どない。ボランティアで視力障害者のガイドヘルパーをした経験もあるから、全盲の方との付き合いは苦にならない。が、一つだけ気になることがあった。
「私、肉が嫌いなのよ、とくにここの豚肉が不味くてねえ」と繰り返しおっしゃる。私は肉も魚も、不味いと思うのは料理法がダメな時で素材の好き嫌いはない。だから、彼女の言い分はあまり愉快なことではなかった。なので何度目かの「こ豚肉、美味しくありませんねえ」と言ったとき、釘を刺してしまった。「私はいつも、美味しくいただいていますよ。今日はとくに柔らかく調理していて食べやすくて。Rさん、お嫌いなのは残念ですね」事実を言っただけなのだが言い過ぎたかも。
以後、彼女の「肉は嫌い」の言葉はなくなった。相変わらず肉料理は残すことが多いけれど。作ってくれる厨房の人に感謝感謝。
孤独にも孤食にも慣れ昼の虫 KUMI
(昨日の句会の句を推敲・添削したもの)