KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

梅雨明けそして明るい認知症

2024年07月18日 | 俳句
天気 曇のち晴

ともかく、梅雨明けだという。が、まだ湿度は高いしすっきりしなくて・・梅雨明けらしい写真を捜したら、10年近く前のものが。前のマンションからのもの。今日は富士山はおろか、奥多摩の山並みすら見えない。
同じ富士山でも、ここからではすっきりとは見えないので、あまり期待は出来ないけれど・・雨が上がると、何となく窓辺へ寄ってしまう。私だけではなく、富士山の見えない側の部屋の人で「今日は見えるかしら?」と、ラウンジへ来る人が。埼玉から来た彼女も、富士山が辛うじて見える家に住んでいたという。

今月は通院ばかりで、昨日は点滴治療の日だったが、先月に続きお休みにしてもらった。
「白斑」が思ったよりも良くならず、その他諸々の副作用らしき症状も少しも回復の兆しもないし。検査結果が悪くなかったので、体力的にも、あと1ヶ月休むことにした。回復はしなくても「安定」はしてくれるかもしれない。でも多分、膠原病の症状の方が強くなったのかも・・と思う時もあるが。来月初めには狭心症に付随する血管のCT検査もあるし・・このトシで検査ばかり受けたって仕方なし、と思っても、私の年齢ではまだ「若いからね」と言うドクターも。確かに、この施設では80代は若いと思われている。だから、施設内で私は年齢を言わない。「まだ、90歳にはなってないけれど、戦争は覚えていますよ」と言う程度に。まだ女性の平均寿命より遙かに若いのだし。
でも、90歳を過ぎたら認知症を避けるのがいかに大変かは知っているので、不健康な長生きはお断りです。この病気だらけに認知症が加わったら、笑っちゃうほど悲惨でしかない。

今、一緒に食事する3人は、皆90歳を越えている。前に座っているOさんは耳が遠い以外は、まあまあ元気。杖をついて自力で歩き、買い物にも出る方。
問題は、あとの2人。まだ入所して2ヶ月目と3ヶ月目、というこのお2人、軽度の認知症なのだ。最初はそれと解らず私ですら騙されそうになったが・・今は、よく解かるのでそれなりのお付き合いにしている。
でも、二人とも、これまで知っている認知症の方たちとはちょっと違うのだ。何とも明るく自分の「度忘れモノ忘れ」を笑い話にしてしまうことだ。軽度だから、と言ってしまえばそれまでだが。
たとえば、食事が終って「今日は味が薄い料理ばかりだったわね」と。
もうお一人も「そうだったわね、でも食べられたから不味い訳ではないわ」
「完食はしたけど、こっちの白い小皿には何が入っていたっけ?」
え?さっき食べたものをもう忘れたの? と思いつつ、私の食べかけだった煮物の小皿を見せる。
「あら、タケノコだったのねえ、味が薄かったのは覚えてるけど、タケノコのことは忘れたわ。アハハハ・・」
と、こんな具合。
自分で飲み薬の管理を出来ないか自信のない人は、食事の時に介護士が預かっていて投薬管理をしてくれる。(私は、まだ自分で管理できます)
食前に飲む薬、というのもあって、飲み終わらないと食事は持ってこない。
で、Sさん、食前薬を飲んで食事を始めて、半分くらい食べたときに
「私、食前の薬を飲み忘れてるみたい」と言い出す。「飲みましたよ、ほら、水のコップが残ってるでしょ」と私に言われ
「あら、そうだった。これからは飲んだかどうかコップで確認すればいいのね、アハハハ・・」
悪びれないからそばに居ても苦にならない。ま、長い時間お付き合いするのは辛いけれど。
「息子に電話で、最近モノ忘れがひどくなって・・と言ったら、何を今さら、って笑われたわ。アハハハ・・」
自分のモノ忘れを自覚しているから、症状も初期なのだと思う。2人とも、歩行はおぼつかないけれど自分の足で、自分の部屋へ戻っていく。


二人とも、普通に話していたら認知症とは思えない。職員は新しい入所者を紹介する時に「認知症ですので」とは言わないので、隣に座っていても自分で判断しなくてはならない。相手が認知症と思わずにトラブルになることは多々あるのだ。たとえば「モノがなくなった」と言う認知症の場合、食堂で知り合って親しくなり「あなた、私の部屋へ入ったでしょ、財布がないのよ」など、事件になってしまう。
私がEさんの症状に気付いたのは、彼女が愛用の手押しの買い物用のカートがなくなった、と言う話から。入所の時に持ってきて、館内でも歩行器代わりに使っていたとのこと。どうもおかしいので、ケアマネさんに確かめたら古くなっていたので、本人の了解のもと、家族が買い替えたのだそうだ。と本人に説明しても、その時は納得するけれどすぐ忘れるとのこと。
もう一人のSさんは、すぐに認知症と解った。入所して3日目くらい、夕食時になかなか来ない。介護士に訊くと、声を掛けたら「はい、行きます」と言うので「お一人で大丈夫?」と確認もしたという。で、その時は再度、呼びに行った。そしてやって来たとき彼女が言ったのは・・
「最初に呼びにきてくれたあとで私、夕飯はもう食べたのを思い出したのよ。ここは食事が4回も出るとは知らなかった」
今の食事が朝だか夜だか解らなくなる人・・いっぱい居ます。その日は雨で、昼食のときに夕方みたいに暗かったので、そう思い込んでしまったのかもしれないが・・食べていない、と言う人は多いけれど4回目、と思った人は聞いたことがない。

ま、失礼とは思うけれど時には楽しませてもらいます。
以上、私も同じことをすでに書いているかも・・その節は失礼を。この施設の認知症は感染します。

梅雨明けの日差しの届く老いの窓  KUMI
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする