私は決してマニアックな人間ではない。ましてや“ふぇち”などという、高尚な追求心も持ち合わせていない。
しかし、だ。
私の住んでいる小さな部屋には、冷蔵庫がない。何となれば、食生活の中心は缶詰なのである。これは道理である。
だからここに、缶詰に関する事柄だけのブログを、一寸立ち上げてみたのだ。そうして更新はなるべく毎日行いたい。
しかし、連日新しい缶詰を開けて食べていくというわけにはいかないだろう。そんな無理をすれば、途中で何もかも放擲して、ロッキー・マウンテンの麓に飛んでいくかもしれない。どうしてロッキー・マウンテンなのかは問わないでいただきたいのだが、ともかくブログのために無理をしてはいけない。
だから、缶詰に関する雑記なども記事とすることにしよう。これは自然である。どうか、この我がままを通すことを許していただきたい。
さて、これはニッスイの「さば水煮」である。私は通常極洋のほうを食することが多いのだが、今回はたまたまこれ。
メーカーはともかくとして、記念すべき缶詰ブログの第一回である。やはりここは華々しく、しかも充分に押し出しのキイた「さば水煮」にご登場していただいた。
さすがに貫禄がちがう。存在感の大きさに、デジカメのピントもボケ気味だ。
かくのごとし。
見た目は極洋製と変わらないようだ。ちなみに言うと、ニッスイも極洋も、「さば水煮・みそ煮」シリーズは、近代の缶詰業界における画期的な仕組みであるプルタブ方式を用いていない。これは残念至極である。
特に今回のように、ハヤり猛る気持ちのままに開缶する場合(普通はそんなことはないが)、パキリと「一気に開けたいな!」と思うのである。
デスク上できりきりと開け始めたところ、「ぷしうぷしう」と妙な音がしてさば汁が飛び散った。歯の角度が悪かったらしい。
PowerBookのキーボード、液晶画面、および周辺事務用品がさば臭をおびて匂っている。
とほほである。みなさんも精密機械のそばで缶詰を開けないよう、ご留意されたい。
味は極洋よりわずかに薄味のようだ。しかし汁を啜って味わってみると、さば節のような旨みがある。
はて、だし汁でも使っているのかと、缶側面の原材料表記を見ると「さば・食塩」のみとある。
しかし、別のところには『天日塩を使って煮ました』なぞと表記してあった。
あの出汁のように思える香りと旨みは、サバと天日塩だけで作られているのだ。ヤルではないか。
肝心のサバについては、腹の脂が乗った部分の含有率が高かった。これは嬉しいことである。背肉はどうしてもパサつきがちなのだ。それと、背骨もさくさくと食せて美味い。
ただし、さばの缶詰の中身というのは、同じ商品でも缶詰それぞれで個体差があるものである。今回の商品はアタリということだ。
これは今夜、熱い白飯とともに食する予定である。せっかく保存に適した缶詰なのに、記事を書きたいばかりにこんな時間(まだ午後3時ではないか)に開けてしまったのだ。さば汁ぷしうぷしうに続く大失態である。梅雨入りしたというのに、このまま放っておいて大丈夫だろうか。せめてへなへなラップを掛けておこう。