今回はパルミットだ。これは椰子の芯の柔らかい部分。コロンビア産である。椰子と言えばやはり子供の頃に夢見た南の島を連想してしまう。どこの国とは限定しがたいがやはり「ばななんばななん♪」といった歌が唇から自然と流れ出るのを止めることが出来ない。
ところで二、三日前にデジカメさん(ニコンCOOLPIX885)が一部壊れてしまった。ホワイトバランスとかを調整出来なくなったのだ。使えないわけではないが、所謂バカチョンさんになってしまった。このブログは食べ物を撮るわけだから、なかなか厳しい状況だ。それ以前に私はカメラの腕がへっぽこなので、今回以降はあまり美味そうに撮れないかも知れない。ステレオからもなぜか『亡き王女のためのパヴァーヌ』が悲しく切なく流れ、明るく楽しい「ばななん♪」は消え去った。合掌。
かくのごとし。これは今時珍しい紙ラベル巻き缶詰だ。前号でこの紙ラベルが海水で破れてしまったイギリス青年の航海記をご紹介させていただいたが、ここでもう一つ、あるマンガを想い出したのである。『少年アシベ』という愛らしいゴマフアザラシの子供と少年のお話だ。こちらではある凶暴な小鳥が缶詰の紙ラベルをみんな剥がしてしまういたずらをしたエピソードがあった。あの大変な人気を誇ったマンガも奥付を見ると第一刷が89年とある。前世紀のものである。こうして時代は巡る。
輪切りにする。大変に柔らかく、縦方向の繊維にそってどんどんほぐれていく。ちょいとつまむと食感は貝柱に似ている。歯触りがいいのである。アーティチョークの水煮と同じく食塩とクエン酸を使用しているのでやや酸味があってしょっぱい。少しの間水に浸しておくことにする。
それにしても今日は暑い。画像で少しだけ底部の見えている『銀河高原ビール』が早く飲みたくて調理と撮影を急ぎ、部屋の中をむやみに水浸しにしている。誰も見ている者がないのが嬉しい。
湯剥きトマト一個乱切り(というのか? テキトーカット)、半額だったマリボーチーズそぎ切りとともに輪切り終了したパルミットを器に入れて、純玄米酢とエキストラバージンオリーブオイルを垂らす。黒胡椒を挽いて、塩を軽く一振り。これはトマトとモッツァレラチーズのサラダのときによくやるドレッシングだ。写真を撮ってから大きく一口。なかなか美味い。パルミットの酸味が酢で打ち消されて良かったようである。定番のドレッシングがあれば怖いものはないのである。嬉しくてばくばくと犬食いする。やや腹が膨れてきたところで突然ビールがあったことを想い出した。すっかりぬるくなったビールをグラスに注ぐと泡だらけである。誰も見ている者がないのが嬉しい。
ちなみにこういう古いタイプの缶詰には、上下に数字がやや乱暴に印刷されている。今回は上面に“281102”、底面に“281105”だった。上面が製造年月日で、02年11月28日(反対に読んでいく)、底面が賞味期限で同じく05年11月28日ということになる。
ビールがぬるくて苦い。せっかく高級ビールだったのになあ。少しやけになりイッキ飲みしてみると実はそんなにビールが得意ではなかったことに気付いた。胸元にだらだらとこぼしてうなだれる。誰も見ていないのが本当に嬉しい。
追記:初トラックバックが嬉しくて反射衛星トラックバックを撃つのである。パルミット繋がりの出来た『チャイディーな世界』“パルミット”~なのである。