おっぺけぺという言葉がある。
> 明治二〇年代にはやった歌。壮士芝居の川上音二郎が、それまでのおっぺけぺえ節に時事風刺の歌詞をつけて歌ったもの。
と大辞泉には書いてるのだが、私としてはこの言葉を
>はなはだしくおマヌケな様子
という風にとらえて使っている。
さて。
前回ご紹介した魅惑的な缶詰さんたちの中から、まずはこのキャンベルのものをいただいてみようと思う。これは側面に酸辣湯(サンラータン)と書いてあるから、あの辛くて酸っぱいというサンラータンのスープなのであろう。折しもここ最近、個人的にサンラータンに興味が沸いていて、
「どんなものか、一度は食べてみたいものだ...」
と思っていた矢先のことであった。
「どうせ高い店に行かないと喰えないんだろっ」
と何故か卑屈になっていたときのご対面であった。
そこはそれ、どうしてもコーフン状態となったことは否めない。
パッカンと軽快に開けてみると、かなりのどろどろ状態。
「ゼラチン質のかたまりだ...」と思いこみ、これを鍋に入れて火に掛けた。
「サンラータンって、けっこう濃いんだなっ♪」
今にして思えば、私はこのあたりですでにおっぺけぺだったのである。
かくのごとし、と意気込んで口中へ。
うおっほー。辛いしょっぱい辛い酸っぱい。と言うよりも、すごく濃いぞ!
「これ、薄めるんじゃないの?」
同席した友人がのたまう。
「んー、そんなこと書いてあったかなぁ?」
缶詰の表記をちゃんと眺めてみると、側面には英語で“倍に薄めて加熱するべし”とあるではないか。ああなんてこったい、食いしん坊のおっちょこちょいもここに極まれり、だ。
かくして、きちんと作り直したスープは、まっこと美味かった。酸味がかなり利いていて、それを頬の内側や舌の上で味わっていると、後から唐辛子の辛みがじわっとやってくるという仕掛けのものであった。倍に増えたからたっぷり堪能出来たしね(増えたわけではない)。
♪おっぺけぺ~、あそれ、おっぺけぺ~♪
謝罪表明
内容量、原材料名などを控えておくのを忘れました。このおっぺけ事態を真摯に受け止め、これからも缶詰さん摂取に励んでいく所存であります。