ギリシアの空は青い。
その青は、蒼でもなく、碧でもない。こちらの心に染み入るような、純粋な青なのだ。
そんな国に、約20年ぶりに行ってきた。
当時は学生だった筆者が、今度は缶詰博士として(自称だけど)の再訪だ。
万感の思いがある。
アテネの地を踏んだとき、胸の底から、熱いかたまりのようなものが込み上げた。
それを込み“下げ”つつ、筆者はスーパーを求めて歩いた。すなわち、缶詰を探してのことであります。
果たして、ギリシアの缶詰事情はどーなっているのだろうか。
こちらはアテネ市内で買った缶詰。
ギリシアの名物料理、ケフテデス(肉団子)が入っているらしい。
彼の地で食べたケフテデスは、汁気がまったくなかった(こういうやつ)。
汁気はないが、肉がジューシーで、香辛料もほどよく利き、素晴らしく美味かった。
それに対してこの缶詰、表面に“イン・トマトソース”と書いてある。
一寸、不安である。
ともかく、開缶。
やっ、トマトソースだらけではないか。見た目にはギリシア料理というより、中華料理である。
しかし、汁気のない缶詰を作るには、それ相応の技術と設備が必要となる(高真空缶詰という)。
汁気のない、正真正銘のケフテデスを缶詰にするのは、ギリシアでは難しいのかもしれない。
なぜなら、他の店でも、ケフテデス缶といえば“イン・トマトソース”しかなかったからだ。
かくのごとし。
器に開け、レンジで加熱してある。
無論、そのままでも食べられるのだが、
「より美味しく食べたい...」
この思いから加熱を行ったのだ。
ではでは、失敬してひと口...。
むうっ。
酸っぱいではないか。
それも、トマトの爽やかな酸味ではなく、酢酸のような酸っぱさがある。
肉質も優れない。
果たしてどこの部位が使われたのか分からないが、時折
「ジャリリッ」
と音がする。我が国の、大変安価なレトルトのミートボール程度の肉質だ。
あまり美味いものではない。
しかし、である。彼の国で食べた食事はどれも非常にウマかった。初めてギリシア料理を食べた細君も、ネコのように目を細めて賞味していたのだ。
その味を懸命に想い出しつつ、何とか完食したのであった。
内容総量:280g
原材料名:ミートボール57%[牛挽肉51%、水、パン粉(小麦粉、全粒粉、椰子油、イースト、オリーブオイル、塩、大豆粉)、抗酸化剤(トコフェロール抽出物)、大豆たん白、調整コーンスターチ、牛乳たん白、安定剤(4ナトリウム何とか、トリポリリン酸ナトリウム)、ニンジン・小麦繊維、乾燥オニオン、塩、パセリ、ミント、オレガノ、パプリカパウダー、黒胡椒]、トマトソース38.5%(トマトペースト、剥きトマト、オニオン、塩、砂糖、白ワイン、赤胡椒、黒胡椒、シナモン)、大豆油
原産国:ギリシア
価格:3ユーロ(購入時で345円程度)