丹波西国三十三所道中記六日目-1 謎のお地蔵さま道標
第十番 神池寺(じんちじ)
2023.12.19(火)曇
巡礼者:小原英明 山本英樹
行程: 道の駅丹波おばあちゃんの里発 8:00ーーー→9:00日ヶ奥渓谷キャンプ場着(5分休憩)ーーー→10:30神池寺着・11:15発ーーー→12:30須磨子の里こども公園着(昼食35分)発13:05ーーー→道の駅着14:35
第十番 妙高山神池寺 天台宗 丹波市市島町多利2609-1 (0795)85-0325
ご本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
神池寺表参道は岩戸寺から続く北面の舗装道なのだろうが、この道を歩くのは気が進まない。前回見つけた日ヶ奥渓谷から妙高山に登る道が楽しそうなのでこちらから登る。下りは下三井庄(みのしょう)に下りる道が佐仲峠から高蔵寺に行く際にも最短となりそうだ。
山本君の車でまず岩戸寺に前回の朱印をもらうため寄ってみるが、今回も不在であった。車を道の駅丹波おばあちゃんの里に置き歩き始める。今回から冬の登山ズボンに登山シャツ、白のウィンドブレーカーに笈摺(おいづる)スタイルに替えたが、ウオーキングサンダルと素足、素手はそのままで結構寒い。道の駅の北の道路を東に進む、高速道、竹田川、県道を越えて行くと道の真ん中に不動さんが頑張ってる交差点に着く。 不動さんが頑張ってる交差点、ここを左に曲がる。
そこを左に行くと町並みが途切れ先程の高速道(舞鶴自動車道)に出合う。立派な案内看板が有り、そこからは高速の側道を歩く。車の通行も無く歩きやすいが、途切れることの無い自動車の騒音はストレスである。高速道が多利の村の里山を分断してしまった感があるが、蓮華寺という大きなお寺だけが山側に残っている。側道が終わり、自然と日ヶ奥渓谷に向かう道となる。この辺りも道標がしっかりしてあり、シーズンにはキャンプ場へ行く車で賑わうのだろう。1Km程でキャンプ場に着き、ここからは林道、やがて山道となる。山道になってからは道が複雑に交差していて戸惑うが、どう行っても神池寺に行けそうだ。 日ヶ奥キャンプ場駐車場、舗装道はここまで。
ここから林道、山道
古い道標が残っているが見落としやすい。傾斜が落ちてくるとお墓が現れてお寺に近づいた感がある。広い境内にはいくつかのお堂が有り、観音様を探すのに苦労する。観音堂と書いてあるところには、沢山の観音様を参れるようにしてある、お砂踏みといったろうか。恵比寿さんとかあり、どうもここにはご本尊はいらっしゃらないようだ。もう一度外に出て探すと、まだまだ長い石段が有り、その先に立派な本堂があった。いつものように参拝してお経を上げていたら急に寒くなってきた。そういえば下から400m以上登っている。 このスタイルでは寒いぞ。
本堂でお参りして記念撮影
本堂を降りて庫裏に向かう。乗用車が止まっているのでご在宅と思ったが、残念ながら不在のようであった。やむなく先程の観音堂に書き置かれた朱印を戴いて帰る。ご住職にお会いせずして帰ることは、なにか物忘れしたような気がして寂しいものである。
駐車場を抜け少し行くと大きなお堂に出合う。明治大覚殿と地図にあるのがこれだろうか。そしてその先道の分岐があり、なんとも風情のある地蔵さまの道標が出てきた。
「右 三井庄笹山 左 細見その?」文化三年の銘がある。?は濁点があり、”べ”のようだ。下三井庄から神池寺に至る道は神池寺の裏参詣道として盛んに使われた道だからこの道標は誰もが承知のものだろう。しかしここから細見(福知山市三和町)、園部にいたる尾根道は、生活道路としては考えにくく、やはり丹波西国の巡礼道と考えるのが妥当だと思われる。ただ、神池寺から京に上るには最短のルートであろうから、「太平記」にある神池寺衆徒が六波羅探題攻略のため都に赴いたのはこの道ではなかろうかと想像する。丹波西国巡礼道とするにはいくつかの矛盾点もあり、この件に関しては後述する。
分岐点の近くに「麻呂子親王???」という朽ちた看板が落ちていた。丹波丹後には麻呂子親王伝説が数多くあるが、下った先にも「下三井庄塚古墳、麻呂子皇子腰掛けの岩」というのがあり、なにがしかの伝説が残っているのだろう。下三井庄に下る道は、そのほとんどが林道、作業道に代わっており古道の面影はない。山を下りきったあたりに宝篋印塔と古い石塔が並んで祀られているところがある。 一周してみたが解脱はどうも、、、
一周すると解脱するとか書かれた看板が怪しげだが、宝篋印塔などは本物のようだ。元々この地にあった様には見えないが、遠くから運んでくる必要も無いし、近所に存在していたのだろうと思われる。三井庄が古い土地柄なのだろう。林道を下っていくとおきまりのゲートが現れる。これが随分立派な造りで一人ではとても開けられない。二人で閂(かんぬき)を向こう側に落としてようやく外に出る。一人で通行される場合は、扉を開けずによじ登る方が早そうだ。つづく