全国最大の指定暴力団山口組(神戸市)と、分裂した神戸山口組(兵庫県淡路市)の抗争が続き、暴力団情勢は混迷を深めている。今月7日には兵庫県公安委員会が神戸山口組を暴力団対策法に基づく指定暴力団とすることを決定するなど、警察当局は取り締まり強化を進めているが、弱体化には組員の離脱・就労支援という「両輪」が不可欠だ。暴力団排除条例などの影響で離脱者が増加するなか、「社会復帰」を手助けする取り組みの重要性が高まっている。
「使い捨てにされたかも…」
「組に残っていたら、使い捨てにされていたかもしれない」。関西地方の山口組系傘下組織に所属していた20代の男性は、山口組の分裂を知り、暴力団追放兵庫県民センター(神戸市)の職員にこう打ち明けた。
肩で風を切って歩く生活に憧れていたが、実際には事務所に泊まり込んで電話番や雑用をする「部屋住み」。好きに使える金はほとんどなく、携帯電話も代金を払えず止められた。「人生をやり直したい。助けてください」。恐怖感はあったが、悩んだ末に平成26年12月、同センターにメールを送った。
「真っ当に働く」という意思を確認した職員は、立ち会いの下で本人に電話させ、組から脱会の承認を取り付けた。同センターの紹介で県内の建設会社に就職し、会社の寮に住み込みで働き始めた。「1年以上たつが、まじめに頑張っているようだ」(職員)。
就労は147人、わずか2%
ただ、こうした例はごく少数だ。警察などの支援で離脱した元組員は、過去10年間で約6120人。一方で、支援を受けて就労に至ったのは147人にとどまっている。「生活保護を受けたい」などと働く意欲のない者も多く、昔の仲間との関係が切れなかったり、無職のまま金に困って出戻りする例も少なくない。
警察庁によると、平成17年に約8万6300人だった全国の暴力団構成員・準構成員は、10年間で4万人近く減った。山口組の中核組織・弘道会や指定暴力団工藤会(北九州市)への集中取り締まり、暴力団との商取引を禁じる暴排条例により、シノギ(資金獲得活動)が困難になったことが影響しているとみられる。捜査関係者は「この機を逃さず、辞めた組員を暴力団に戻らせないことが重要だ」と強調する。
受け入れ側の「不安を和らげること」
福岡や大阪など15都府県の警察などは今年2月、県境を越えた離脱者支援協定を締結した。古巣組織からの報復を防ぎ、誘惑を断ち切るために遠隔地の就労先を斡旋(あっせん)する仕組みづくりが目的だ。
また暴力団追放兵庫県民センターでも今春から、離脱者が職場で暴力沙汰を起こすなどした際、50万円を限度に補償金を支給する制度を独自に創設。同センターの岡健嗣・事務局次長は「元組員がトラブルを起こさないのが一番だが、受け入れへの不安を和らげることで協力の輪を広げたい」と話している。
「使い捨てにされたかも…」
「組に残っていたら、使い捨てにされていたかもしれない」。関西地方の山口組系傘下組織に所属していた20代の男性は、山口組の分裂を知り、暴力団追放兵庫県民センター(神戸市)の職員にこう打ち明けた。
肩で風を切って歩く生活に憧れていたが、実際には事務所に泊まり込んで電話番や雑用をする「部屋住み」。好きに使える金はほとんどなく、携帯電話も代金を払えず止められた。「人生をやり直したい。助けてください」。恐怖感はあったが、悩んだ末に平成26年12月、同センターにメールを送った。
「真っ当に働く」という意思を確認した職員は、立ち会いの下で本人に電話させ、組から脱会の承認を取り付けた。同センターの紹介で県内の建設会社に就職し、会社の寮に住み込みで働き始めた。「1年以上たつが、まじめに頑張っているようだ」(職員)。
就労は147人、わずか2%
ただ、こうした例はごく少数だ。警察などの支援で離脱した元組員は、過去10年間で約6120人。一方で、支援を受けて就労に至ったのは147人にとどまっている。「生活保護を受けたい」などと働く意欲のない者も多く、昔の仲間との関係が切れなかったり、無職のまま金に困って出戻りする例も少なくない。
警察庁によると、平成17年に約8万6300人だった全国の暴力団構成員・準構成員は、10年間で4万人近く減った。山口組の中核組織・弘道会や指定暴力団工藤会(北九州市)への集中取り締まり、暴力団との商取引を禁じる暴排条例により、シノギ(資金獲得活動)が困難になったことが影響しているとみられる。捜査関係者は「この機を逃さず、辞めた組員を暴力団に戻らせないことが重要だ」と強調する。
受け入れ側の「不安を和らげること」
福岡や大阪など15都府県の警察などは今年2月、県境を越えた離脱者支援協定を締結した。古巣組織からの報復を防ぎ、誘惑を断ち切るために遠隔地の就労先を斡旋(あっせん)する仕組みづくりが目的だ。
また暴力団追放兵庫県民センターでも今春から、離脱者が職場で暴力沙汰を起こすなどした際、50万円を限度に補償金を支給する制度を独自に創設。同センターの岡健嗣・事務局次長は「元組員がトラブルを起こさないのが一番だが、受け入れへの不安を和らげることで協力の輪を広げたい」と話している。
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