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ゴールドマン警告「中国の不動産バブル崩壊」懸念

2016年10月17日 08時10分24秒 | 海外情報
このところ中国の住宅バブル崩壊を危ぶむ声が急増している。9月から10月にかけて多くのメディア、投資銀行、そして豪州政府までもが中国住宅市場の過熱に警鐘を鳴らしている。中国政府が政策の舵取りを誤れば金融危機やコモディティー価格の急落などで世界経済を揺るがしかねない。
ここでは中国の住宅市場に対する見方を紹介し、有効な手立てを打ち出すためには中国政府が抱える2つのジレンマを抱えていることを解説していこう。
■高騰が続く中国の住宅価格
まず中国の住宅市場の動きをおさらいしよう。まず、販売金額は年初の急伸のあと8月まで前年比40%以上の増加ペースが続いている。政府が発表する新築住宅の価格動向を見ても、8月は主要70都市のうち64都市で値上がりし、7月の51から大きく増加。昨年2月までの約半年間がほぼゼロであったのと比べると様変わりだ。前月比の値上がり幅は6年ぶりの高さとなり、一年前に比べ南京と上海が30%以上、北京は24%など高騰が続いている。
この住宅ブームの裏には政府の後押しがある。昨年12月の共産党政治局会議では、経済成長鈍化を食い止める一環として住宅在庫の解消が重要課題とされ、中央・地方政府はその後あらゆる政策を動員、住宅の需要喚起に躍起になっていた。
一方、個人を中心とする買い手側も各地の住宅販売フェアに殺到するなど過熱気味だ。株式市場が昨年高値の6割程度の低水準にとどまり、海外投資が厳しく制限されているなかで、住宅投資が手っ取り早い運用手段になっている。さらにシャドー・バンクを含む金融機関も、過剰能力を抱える製造業の資金需要が低迷するなかで住宅向け融資に活路を見出している。このように、政策支援、投機機運、金融機関の加担、さらには規制が強化される前の駆け込み需要などが相まって、買いが買いを呼ぶバブルの様相を強めている。
■バブル崩壊懸念、各機関が警鐘を鳴らす
この状況を受けて多くの機関が警鐘を鳴らしている。市場情報提供会社ブルームバーグは先月後半、中国の不動産市場にバブル崩壊の兆しがあるとして香港の調査会社のレポートを引用、「より喫緊なリスクは不動産バブル崩壊の恐れで経済が突然、大きく落ち込むこと」、「既にバブルになっている。投資家にとって重大な問題はこれがいつはじけるかである」と報じた。
米投資銀行ゴールドマン・サックスも10月初めの商品市場レポートで「政策主導の住宅ブームは単なる需要先食い。いずれ落ち込む」、「多くの勤労世帯にとって住宅は高嶺の花となり、これが続けば建設活動の低迷は長引く」とし、中国の不動産市場のリスクは高まり、少しでも落ち込むようであれば鉄鉱石や鉄鋼製品を中心に金属素材は厳しい局面を迎えると警告している。
これに呼応するかのように豪州政府は、中国住宅市場では「在庫は2016年前半にわずかに減少したが、供給過剰に変わりはない」、「建設活動の拡大はそう長く続かず、この分野で使われる物資は減少する方向」とし、同国の主要輸出品目である鉄鉱石の価格が来年は6%低下する恐れがあると懸念する。
このようなバブル懸念は国外にとどまらない。中国人民銀行(中央銀行)のエコノミストも不動産市場の「持続不能なバリュエーション」とその先行きに対し警鐘を鳴らし、「過度なバブル膨張に歯止めをかける方策が必要で、不動産セクターへの過剰融資を押さえ込む必要がある」と提言している。
■2つのジレンマを抱える当局
当局も手をこまねいているわけではない。すでに購入促進策を転換、現在では20以上の都市で頭金比率や購入軒数の規制を強めている。しかしその有効性に対し、ゴールドマンは先のレポートで「地方政府がこの半年間とってきた規制策は市場の過熱をほとんど抑えられていない」と懐疑的だ。日本経済新聞も「規制をかいくぐるネット金融の普及で、効果が上がるかは未知数」と報じている(10月13日朝刊)。
中国政府が金融政策と政治の両面でジレンマを抱えていることも先行きに不安を投げかける。コメルツ銀行AGは最近のレポートで「インフレ沈静化が続き成長率が鈍化する中で、金融政策は全体として緩和的であるべきだが、資産バブルの懸念があるため、さらなる緩和の余地は限られている」と政策の舵取りの難しさを指摘する。
また政治面では、構造改革を重視する習近平主席派と、景気刺激策で高成長路線への回帰を求める「守旧派」が対立しているとされる。最近の中国景気は政府主導の不動産とインフラ投資の拡大策に支えられた片肺飛行だ。メーカーや金融機関の過剰設備・債務の整理に本気で取り組めば景気が再び下振れする恐れがある。

10月11日、李克強首相はマカオでの演説で7-9月の中国経済は予想よりも良いと述べた。また中国経済は統計が示すほど鈍化していないと主張するエコノミストもいる。中国政府がバブル抑制を優先して財政拡大で対応するのか、はたまた財政健全性重視でバブル膨張に目をつぶり成長を優先させるのか。さらには、構造改革を強力に推進して「ゾンビ企業」淘汰に走れば企業破綻が増え、信用不安が海外に飛び火する恐れもある。
中国の今後の景気動向と政策運営によっては世界経済に大きな影響が出るリスクがあることを投資家は意識しておく必要があるだろう。(シニアアナリスト上杉光)
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目指せリッチウーマン! 今すぐ真似すべき富裕層の共通点3つ

2016年10月14日 07時54分19秒 | お役立ち情報
リッチな生活に憧れない人はいないはず。今回は証券会社に7年勤務し、「富裕層」の資産運用に携わった経験のある筆者が、いわゆる「富裕層」と呼ばれる層の資産はどれくらいあるのかということと、現在富裕層と呼ばれる人はどのような人が多いのかについてご紹介します。
■そもそも「富裕層」とは
一般的に、金融資産が1億〜5億円ある人のことを「富裕層」と言い、5億円以上ある人は「超富裕層」と言われます。ただし、自分の資産を1つの証券会社に預ける人はまずいないので、証券会社にだいたい3000万〜5000万円以上を預けている人が富裕層とされます。
富裕層には、社長や開業医の方が多いですが、親が資産家で、株や債券や投資信託などを相続する人も結構存在しています。なので実は「50〜70代の専業主婦」のなかにも富裕層はいます。
また、60〜70代以上の方は、退職金に加えて親からの相続で資産が増え、富裕層になるケースも多いです。
■富裕層と呼ばれる人の3つの共通点
そんな「富裕層」と呼ばれる方には、仕事やお金の考え方について3つの共通点があります。
1.無駄なお金を使わない
富裕層の方は、一般庶民と比べるとはるかにゴージャスで贅沢な暮らしをしていると思われがちですが、実は彼らには倹約家が多いのです。例えば、ビル・ゲイツ(Microsoft元会長)は、飛行機に乗るときは極力エコノミークラスを利用し、スティーブ・ジョブズ(Apple元ファウンダー)はいつも同じ服装をしていました。
倹約家が多い理由は、お金を使う際「このお金は投資になるか?消費になるか?」と常に考えるクセが身に付いているから。そのため、多額の資産を手に入れても、これまでのライフスタイルを大幅に変えることは少ないのです。 
2.貯蓄よりも投資をする
富裕層の共通点として、リターンが期待できるものへ自ら稼いだお金を投資する傾向にあります。自らの仕事に関係するスキルや設備への投資、年数を経るごとに価値が上がる金融商品や不動産への投資、慈善団体への多額な私財投資など、有益なことには惜しみなくお金を使います。
3.利益を考えない
ほとんどの富裕層の方は、お金のことを考えて仕事をしていないそうです。彼らがフォーカスしているのは相手の期待を上回るものを提供すること。そうすれば、周囲の人にその気持ちが伝わり、結果としてお金がついてくるというわけです。
■富裕層のお金の使い方を参考に
富裕層と言われる方は、どのような人なのか、またどのような考え方や特徴があるのかをご紹介しました。今は大きな資産がなくても、富裕層と呼ばれる人たちのお金の使い方や投資に対する考え方を真似していれば、あなたも富裕層に近づくことができるかもしれませんね。
佐藤ねむり
札幌出身、東北在住の女です。証券会社に足かけ7年ほど勤務したのち、現在は二児の子育てに明け暮れています。写真を撮ること、日本株投資が大好きです。
(提供:DAILYANDS)
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初めての不動産投資。現金はいくらあれば良い?

2016年10月12日 07時47分58秒 | 不動産ビジネス
不動産投資をするにはまずは3年は勉強しないと…そのようなイメージを持つ人も居ると思います。
けれど、筆者が勉強を始めてから最初の物件を購入するまでにかけた時間は一ヶ月でした。正直、3年も空けてしまうとその分利回りが下がりますし、それよりも時間に対する勉強の密度を上げたほうがよほど生産的ではないでしょうか。
こちらでは不動産投資に当たり、最初に先ず用意しておくお金についてご紹介しましょう。
■一体現金はどのくらい必要なのか
昨今はフルローン、つまり「自己資金ゼロでも不動産を買える」、なおかつ「月々の返済額は家賃程度」といった謳い文句が増えています。しかし正直、これを鵜呑みにすることはおすすめできません。
なぜならば大家業を営んでいる実感として、不動産投資には日々どんなトラブルが起こり、急な出費が必要になるか分からないからです。
■手元には物件価格の◯割は残しておきましょう
例えば、台風で窓ガラスが割れる。中古物件ならば、梅雨に入ったとたん雨漏りが起きて外壁の修繕が必要になるということも。
地震が起きれば敷地内にヒビが入るかもしれません。万が一、水周りに不備が見つかりでもすれば簡単に200~300万くらい吹っ飛びます。
不足の事態には、現金がなければお手上げなのです。
したがって何かあったときの保険として、最低でも物件購入価格の1割くらいは用意しておいたほうが良いのではないか……というのがよく聞くところです。
ちなみに筆者自身は、生家に3億の借金があった借金アレルギーなので、今のところ保有物件は全て現金一括で購入しています。
例えば、千葉県市川市に所有しているテラスハウスに関しては、給湯器交換の条件付きで410万円で購入。リフォームは障子の張替えと窓ガラス交換だけで済んだので1万円ちょっとと格安。
その上でさらに150万円(物件購入価格の1/3ほど)を貯金として残しましたから、だいたい600万円も用意すれば、頭金も何もなく、借金ゼロで戸建て大家さんにはなれるということですね。
ただ、必ずしもこのやり方がベストかと言えば、そうでもないと思います。
不動産投資の大きな醍醐味は、やはり巨額の融資を引けること。つまり資産を増やしていくにあたってのスピードを外してしまうのは勿体無いとも感じるからです。
■歴史的な低金利時代、ローンを使わないのは損?
株式など他の金融商品では、信用取引(持っているお金以上の取引)をするにしても、せいぜい自己資金の3倍が限界です。ところが不動産投資においては、それこそフルローンを組めば自己資金の10倍、20倍の物件でも購入できてしまいます。
ただ、借金が増えればそれだけリスクも増えますから、先述の通り、最低でも物件価格の一割は手元に残した上で、次に家計の収支を算出し、幾らならば毎月返していけるのかを明確にしてから、頭金を逆算するというシミュレーションが必須になるでしょう。
■不動産投資のシミュレーション、こんな風にやっています
例えば最近、私の家の近所では650万円の中古区分マンションが売りに出されていました。
2LDKの62平米、2階の角部屋で内装リフォーム済み。写真もとてもきれいです。10倍のレバレッジを利かせる前提で考えれば、貯蓄の他に最初に50万円も用意すれば、月々の返済額は管理費込みで5万2801円。
今、自分の住んでいるマンションは40平米で家賃4万7000円ですから、差額はほんの5000円。引っ越して1室を民泊する賃貸併用住宅とするならば、計算上は飲み会1回我慢すれば余裕で買えてしまいます。
しかし実際にはそうしないのは、一つには区分マンションには土地が付かないので、出口戦略を取りづらい(売却しづらい)こと。
また、積立修繕金や管理費というのは往々にして上がるものなので、真に受けるのもなぁ……という部分と、何より、私は飽き性で4年に1回の頻度で引っ越しをしているので、自宅は賃貸のほうが気楽なのですね。

いずれにしても無理のない返済計画をとはよく聞くフレーズですが、まさにこれに尽きるのではないでしょうか。
■思い立ったが吉日、けれど焦りは禁物
不動産は縁です。
なんて書くと急にスピリチュアルですが、気合を入れて勉強して、できるリサーチは全てしたならば、後はもう体当たりでひたすら実地を見続けていくしかありません。そうすると不思議にも、「ここだ。これを買うしかない」という物件に出逢うものです。
そういうときこそが買い時です。
周りの意見に惑わされず、あなたが、あなたの始めたいタイミングで、大家さんになれるよう応援しております。
一鷹
戸建て3軒を所有し、利回り15%を実現している個人大家。「本当に旅する物語を作りたい」との思いを胸にプロの登山ツアーリーダーに。秋葉原・男装エスコート店「ウィズコレクション」にて人生相談承り中。
(提供:DAILYANDS)
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ヘッジファンド「資金引き揚げ」はリーマン再来の兆候?

2016年10月11日 07時50分33秒 | 経済
米ブルームバーグが9月29日、一部のヘッジファンドがリスク回避のためドイツ銀行に預けていた証券や現金などの引き上げを開始したと報道した。その報道を受け、米国でドイツ銀行のADRの株価は約7%安と急落した。リーマンショックの再来があり得るのだろうか。
■ドイツ銀のプライムブローカーを解除
ブルームバーグの報道は、銀行でいう取り付け騒ぎとは全く違う。ヘッジファンドは、通常、自分名義で運用はせず、証券会社や投資銀行をプライムブローカーに指定して口座開設を行ない、運用する。
プライムブローカーは、ヘッジファンドの資金調達から、トレーディング、口座管理、証券管理、貸株借株の手配などヘッジファンドに必要な業務を総括してサポートしていくサービスだ。プライムブローカーは1社の必要はない。たとえばゴールドマンとドイツをプライムブローカーにすることが出来る。したがって、ドイツ銀行をはずしても他の投資銀行とプライムブローカー契約があれば問題ない。
一部のヘッジファンドがドイツ銀から資金や証券を引き上げたというのは、ドイツ銀とのプライムブローカー契約を解除して証券や現金を引き上げたということにすぎない。
■リーマンショックも最初はヘッジファンドだった
そうは言っても、リスクに敏感なヘッジファンドが逃げたとなると、ほかのヘッジファンドが追随する可能性がある。
2008年9月、米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻し、金融史に残るリーマンショックが起こった。これも、ヘッジファンドが資金を引き揚げはじめたことで、リーマン・ブラザーズの資金繰りが厳しくなり、株価がたたき売られたことが最終通牒となったという見方が強い。今回のドイツ銀行のパターンもリーマンショックと似てきたと意識せざるを得ない。
リーマンショック後に、サブプライムローンなどのデリバティブ等の流動性が一気に低下する連鎖によりクローズや窮地に陥ったヘッジファンドがあったことことは記憶に新しい。
■ドイツ銀の株価はリーマンショック時を下回る
ドイツ銀行は2015年の決算で約67億ユーロ(約7800億円)の赤字を計上している。欧州経済危機、VWショックなどで、ドイツ最大の銀行として国のために多額の融資を行わざるを得なかったことも経営危機の原因だと言われている。
2015年の年次報告書によると、デリバティブに対するエクスポージャーは約41兆ユーロ(約4700兆円)の巨額の残高を抱えていることが判っている。これはデリバティブの想定元本ベースであり、数字が示すほど大きなものではないが、この取引の中には、財政破綻懸念の強いギリシャ、イタリアへの債権などが含まれており、不良債権化するリスクはあるだろう。
リーマンショック時に流動性の低いサブプライムローンなどを組み入れたデリバティブが、最終的にリーマンを破綻に追い込んだ。ドイツ銀行のデリバティブ残高には、他の投資銀行よりも流動性の低いハイブリッド債などが多く含まれているという。
そういった背景から、ドイツ銀行の株価は、9月30日安値で9.898ユーロと10ユーロ割れまで売り込まれた。年初来の下落率は56%に達し、リーマンショック時の安値をすでに割り込んでいる。ただ何かあったとしてもドイツ銀行は、大きすぎてつぶせないのと言う見方も根強い。
■追い打ちをかけた米司法省の罰金
9月16日に、米司法省は住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売をめぐり、ドイツ銀行に140億ドル(約1兆4400億円)の和解金(罰金)支払いを要求したと報じられた。当日のドイツ銀行の株価は約8%の下落となった。その下げが、9月29日の「資金引き揚げ」による下げにつながったのだ。
ただ、その翌9月30日、ロイターがドイツ銀行の罰金は大幅削減の54億ドル(約5500億円)で近く合意かと報じ、株価は30日を底に一旦反発に入った。
ヘッジファンド界のカリスマ、ジョージ・ソロス氏は、ドイツ当局への報告でドイツ銀行株を6月時点で約700万株をカラ売りしていたことが判明している。その後のポジションを買い戻しているのか、継続してショートなのかは今のところ判らない。これからもドイツ銀行をめぐるニュースと株価の動きは世界の金融市場を揺さぶる可能性が高そうだ。
平田和生(ひらたかずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。
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北尾SBI代表が狙う「FinTechベンチャーの囲い込み」作戦

2016年10月10日 09時22分14秒 | 暗号通貨
「10月にフィンテックの新しいコンソーシアムをスタートさせる。ブロックチェーンを使い国内外の送金オペレーションを一元化し、24時間運営でコストを大幅に下げ、顧客の利便性を引き上げる新しいシステムを作り上げる。良いことずくめだが、国内では既に全銀ネット、国際的にはSWIFTというシステムが存在するため、これらをつぶしていかなければならない」――。
9月21日、東京・丸の内で金融庁と日経の共催による「FinSumシンポジウム」が開かれた。内外のフィンテック関係者が勢ぞろいしたこの会議で、最も現実的で、実践的な話を繰り広げたのが「地域金融とフィンテック」での北尾吉孝氏(SBIホールディングス代表取締役 執行役員社長)だ。
金融とITの「相乗」、フィンテックで先行するSBIホールディングスの構想を紹介する。

FinTechはコンセプトの時代から実用化の時代に

北尾氏はスピーチの前半で、自身の立ち位置について「1999年にSBIホールディングスを設立。以降16年かかったが、世界で初めてインターネットをベースにした金融のコングロマリットを完成させた」とし、「次なる目標として3年以内にフィンテック生態系へ完全に移行することを目指している。SBIホールディングスのグループ各社ではフィンテックはコンセプトの時代が終わり、実用化の時代に入った」と述べた。
「各事業体ではそれぞれ実証実験を進めている。多くのベンチャー企業が、ブロックチェーン、AI、ビッグデータ、IoTとさまざまな要素技術をもってフィンテックの世界に入ってきているが、われわれの使命はこれら技術を持つ企業をコンバインして、システムを作り上げ広げていくことだ」とした。
討論のテーマである地域金融については、「短期的にはマイナス金利で利鞘は大幅に縮小している。地域金融機関同士が株式を持ち合い、あるいはメガバンクが地方銀行の株式を持ち、ぬるま湯につかっている。こんなバカげたことがあるのか?資本は流動化し、有効活用して初めて意味がある。A銀行とB銀行をくっつけても何も新しいものは生まれない。また中長期では人口減少、特に地域の過疎問題がある。50年、100年と営々として築いてきた営業基盤が壊れようとしている。地域創生が叫ばれて久しいが、こうした地域金融機関に対してわれわれは何ができるのか」と地域金融の現状について厳しい視点から問題を指摘する。
ここで北尾氏は2000年、ソフトバンク在籍時代にスルガ銀行と結び設立した「スルガ銀行ソフトバンク支店」のことを改革の前例として紹介した。

「銀行と証券をシームレスにつないだ業務を展開、スルガ銀行の中で突出した営業成績を上げ、あっという間にトップ支店となった」

ブロックチェーンを使った地域通貨の発行

北尾氏は「フィンテックベンチャーとともに、300億円のフィンテックファンドを立ち上げ、既に20数社に投資し、60億円を使った」とし、今後の方向について「地域銀行価値創造のため、1000億円規模で資金を集めようと思っている。各銀行についてわれわれが株主となって、地方銀行を全く異なった性格の銀行に変えていく。地域銀行活性化のためにさまざまな技術が利用できる」と述べた。
その具体例として北尾氏はまず、Orb(仲津正朗代表取締役)と組んだブロックチェーンを活用した地域通貨の発行を挙げた。
「地域の観光客が1万円を消費する場合、これを地域通貨で支払う。その際、+500円の補助金が地方自治体から出る。これはふるさと納税から賄える。地方通貨はその地域で消費されるため、その地域は潤い、企業は銀行の融資を求めるようになる。こうした好循環をつくっていく。Orbに限らず、今新しいフィンテック・ベンチャー企業が次々に登場してきている」と述べ、次に具体例としてBASE(鶴岡佑太代表取締役)を挙げた。
「BASEはEコマースのプラットフォームを30秒でしかも無料でつくることができる。また、自社で展開するオンライン決済サービスPAY.JPでは、モバイルフォンのパスワードでクレジットを与えるか与えないかを瞬時に判断する。こうした素晴らしい技術を持っている企業がたくさんある。これらをコンバインして新しい世界をつくっていく。これが私が考えるフィンテックの世界だ」と結んだ。
フィンテックはまさに実用化の時代に突入した。
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