新曜社刊行 芳賀繁訳 より
●リスク・ホメオスタシス理論(RHT)は、どのような活動であれ、人々がその活動から得られるであろうと期待する利益と引き換えに、自身の健康、安全、その他の価値を損ねるリスクの主観的な推定値をある水準まで受容する。p7
● 事故予防の動機づけアプローチを提示する。
● 効果的な安全管理技術は、リスクの目標水準を低下させる技術
● 技術、教育、医療がどんなに進歩しても、人びとが事故で死ぬ確率を減らすことに失敗すると示唆する理論を唱えるのは、異端ではないのか。p34
● 個人の行動に関するものではなく、所与の行政地域における全道路利用者に関するモデルである p42
● ホメオスタシスは出力が不変であることを意味するのではなく、設定変数に出力を一致させるためのプロセスなのである。p48
●永続的な効果をもつ対策は、唯一、人びとのリスク目標水準を下げることである。p56
● 「本質的リスク」の変化を予期する人間の能力もまた、安全対策の効果を減少させる。
道路が2車線に拡幅―>本質的リスクの低下を予測―>より不安全な行為をする(行動補償)->事故率は変化しない
● 事故被害の総量は、個々の行動の帰結の合計なのである。p62
● この理論は、一定人口あたりの事故率を説明するためのものであって、特定個人が事故を起こす確率や、直接的事故原因、たとえば、知覚、意思決定、操作上のエラーを説明するものではないことを強調しておきたい。p64
● 安全は技能の問題ではないのだ。おそらくは、「優れた」訓練を受けたという優越感からくる自信過剰かリスクの過小評価が、事故率の差を生んだ。p109
● レーシング・ドライバーの事故歴を調べた研究によると、同性、同年代のドライバーに比べてかなり衝突事故の頻度が高かった。p110
● リスクテーキングが人格特性の一種ではない。
● 事故を起こす傾向が安定した個人特性ではないからである。
● 事故原因の中に人格特性を探そうとしても、干し草の山の中に落とした針を探すのと同じくらい見込みが薄い。
● 人は意見を尋ねられてから意見を形成するかもしれない。
● 人びとが受け入れてもよいと感ずるリスクの水準は、4つの戦術で介入することによって下げることができる。p227
・ 慎重な行動によって感じられる利益を増やすーー戦術A
・ 慎重な行動によって感じられるコストを減らすーー戦術B
・ 危険な行動によって感じられるコストを増やすーー戦術C
・ 危険な行動によって感じられる利益を減らすーー戦術D」