◎解説の角度〔1997年版 心理学〕現代用語の基礎知識
●いじめによる自殺はいっこうに減る気配がない。それを解決するための一つの有力な方策として,多数の学校にカウンセラーが試験的に導入されるようになってきた。心を癒す専門家として,果して学校でどんな効果をあげるのか,長い目でみていきたいものである。
●からだの病気には誰しもが気をつける。しかし,心の病気となると,一般には,かなり無頓着なところや偏見に満ちたところがある。心もからだと同じで,酷使すれば病気になる。カウンセリングや心理療法,ときには医学的な治療を受ける必要がある。
●とは言っても,心とからだは,異なったメカニズムで動いている。心の働きの特質をよく知った上で,何が異常で何が普通なのかをよく見きわめる必要がある。ここでの解説は,こうしたことを支援することを企図して書かれている。心理学への社会的な期待を受けてアメーバのごとく増殖する心理学の新しい領域を素描したのち,人の心の領域を,大きく,認知機能(知的な頭の働き)と情意機能(情緒や性格)とに分けて,心の理解の鍵となる用語を取り上げてみる。
▲心の時代における心理学への期待〔1997年版 心理学〕
物の豊かな社会は心の豊かさも求める。社会の至るところで、心が話題になる。かくして、心理学への期待も高まることになる。そうした社会からの期待に応えるべく、アカデミックな心理学の領域の周辺に、新たな研究領域が形成され、興味深い展開をしている。