集中力は限界があることを知っておく
集中力には、2つの意味で限界がある。
一つは、エネルギー量の限界である。石油でも、原子力でも、およそエネルギーにはどんなものでも限界があり、いつかは枯渇する。注意のエネルギーも例外ではない。供給量の限界に加えて、それをためるのにも限界がある。容量制限である。ちょうと、ダムのようなもので、ダムに流れ込む雨の量にも限界があるし、大きさにも限界がある。
もう一つは、集中のエネルギーを一点に集め、それを一点にとどめておく力の限界である。図を見てほしい。いずれも反転図形と呼ばれるものであるが、じっと見ていると見えるものが反転するはずである。一方だけ見ようとして注意を集中しても別の見え方は生じてしまう。
いずれの限界の、固定したものと考える必要はない。ある程度までは訓練によってこの限界を拡大することはできる。禅や瞑想、メンタル・トレーニング、一点凝視などがそれであり、また、環境の設計によってもこの限界を越えることができる。
しかし、そのいずれにも限界がある。朝から晩までたえまなく集中し続けるのは人間にとって自然なことではない。自然ではないことをずっと続ければ害になる。
特に、注意集中が外から強制されるときは、注意しなければならない。注意力コントロールは、個人の力量にゆだねられるくらいの環境がちょうどいいのである。これまでに述べてきた方法の数々は、子供や部下の注意集中をコントロールする技術として使うこともできるが、十分にこの点への配慮をしてほしいものである。
そして、集中力について考えるのと同じくらい、あるいはそれ以上に大事なことは、いかにリラックスするかである。リラックスのコントロールができれば、おのずと集中力は発揮できる。この点も、随所で強調してきたつもりである。