潜在学習(implicit learning>
強化や報酬が与えられなくても生じる動物の学習を潜在学習といいます。また、同じ状況での人間の学習は偶発学習と呼ばれます。強化とは、ある行動の頻度が、刺激を与えることで、刺激がない時よりも高められることをいいます。例えば、パブロフの、犬を使った実験では、ベルが鳴ると餌が現れます。この場合、餌が反応を強化し、餌がなくてもベルが鳴るだけで犬はよだれを出します。また、ねずみがレバーを押すと餌が出てくる、もしくは電流が止まるという場合も、餌や電流の除去がレバーを押すという反応を強化します。こうした強化がなくても学習を行うことが潜在学習、または偶発学習といいます。例えば、流行の曲が頻繁にテレビやラジオで流れ、買い物先の店内でもその曲がかかっているとします。その曲が好きなわけでもなく、覚えたからといって特によいこともありませんが、聞いているうちに歌詞やメロディーを覚えてしまう。これも潜在学習の一種です。(HU)
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次のような実験があります。ネズミを3つのグループに分けて20日間1日一回迷路をさせます。1つめのグループには迷路のゴールに毎回餌を置きます。2つめのグループには餌を置きません。3つめのグループは11日目、つまり後半から餌を置くようにします。餌が与えられるグループのネズミは間違える回数が徐々に減っていきます。餌が与えられないグループは間違える回数が多く、なかなか減りません。しかし,3つめのグループは餌が与えられた翌日から急激に間違える回数が減り,すぐに1つめのグループの成績に追いついてしまいます。これは餌が無い時期にもちゃんと迷路の学習ができていたのに成績として表れず,それが餌を与えることで目に見える形となって表れた、ということです。これは餌というご褒美がなくてもきちんと学習はできるということを示しています。成績として、つまり目に見える形で表れていない学習を潜在学習といいます。(NH)