天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】無限の住人、ノー・エスケープ 自由への国境【13~14作目】

2017年05月09日 | 映画感想
「無限の住人」

沙村広明氏著の同名タイトルコミックの実写映画化。
…と書いても誰もピンと来ないかもしれない。それよりも「三池崇史監督×木村拓哉主演のぶった斬りエンターテイメント」と書いた方が分かり易い。
公開後のマスコミ評判がすこぶる悪い、という噂を聞いたのですが(アンチ・キムタクのマスコミのキムタク叩きにも最近辟易して来ましたが)
単純に三池監督がキムタクをどういう風に撮ったのか気になったので観に行ってみた。

あらすじ…「100人斬り」の異名を持つ「万次」は騙されて罠に嵌められ、たった1人の妹を殺されてしまう。そこに現れた不思議な老女の手によって
万次は不死の体を与えられた。不死身になった事で斬られた傷は直ぐに治るが、段々と剣術の腕は落ちて行くのを感じていた。
それから50年後、亡くした妹と瓜二つの顔をした少女「凛」が現れ親の仇を討つ為に用心棒になって欲しいと懇願される。彼女の願いを聞き入れて
凛の親を殺したという「剣客集団・逸刀流」の首領である「天津影久」の命を狙う万次と凛だったが…

え、そんなにクソミソ言われなきゃあかんか?自分結構面白かったけどなぁ~
「ぶった斬りエンターテイメント」と銘打つだけあって殺陣のシーンが本当に多いんですが、どのシーンも凄く作り込まれていて見ていてワクワクしましたよ。
クライマックス、死屍累々の間を真っ赤なぬらぬらとした血の川が流れて行く様子なんぞ「禍々しいのに美しい」とでも言えばいいのか…三池監督の
こだわりを感じさせる絵作りにゾクゾクしましたけどね。
殺陣自体も非常に手が込んでて…やっぱキムタク身体能力高いんだよな~。なんやかんやでジャニーズは体の動きが圧倒的にいいんだな。
ああでも本作の敵役の福士蒼汰君もめっちゃ体のキレがいいんだ。しかも美形~♪お顔が美しい~♪
出演されている役者さんがクセモノ揃いで、しかもいいキャラ出して来てたよ。万次と同じく不死身の体を与えられた男を演じていた市川海老蔵さんや
凛に付け文を送り続けるロリコンおやじ(ヲイ)「鯖人」を演じた北村一輝さんの怪演もさることながら、吉原の花魁をしつつ天津の為に刺客を
続けていた「槇絵」を演じた戸田恵梨香ちゃんが可愛かったわ~大胆に太モモ晒して決めポーズで現れるシーンなんて「おひょー♪」って声出そうだったわw

劇中で「どちらが善でどちらが悪か」「お前が善なのか」等の問答が何度か出て来るんだけど、これに対する答え?のようなエピソードが
凛が天津から彼の生い立ち(と言うか彼の祖父からの恨み)を聞かされるシーンだと思いましたね。物事は一方からしか見ても何も分からない。
一方から見て善だと思った事象が、他方や別の立場から見てみると悪に映る事はままある。凛にとっては天津は親を殺した仇であり悪だけど、
その天津の祖父は凛の祖父から非道な扱いを受けて破門され、失意と恨みの中死んでいたのだ。だから天津にとっても凛の親に「仇討ち」した立場だった。
このエピソードがクライマックスのシーンをより深い物に昇華してくれていたなぁ~と。

目的もなく死ぬ場所や死に方を模索する万次の苦悩と、凛と出会った事で少しずつ変わって行く様子をキムタクも上手に演じていたと思いますよ。
どうして本作がそんなに悪評価なのか本当に分からないなぁ~。上映時間結構長めなんですが、全く時間の長さも感じさせられませんでしたしね。観て良かったよ。



「ノー・エスケープ 自由への国境」

今年のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品(メキシコ代表)
…というのは後から知った情報で、自分はアルフォンソ・キュアロン(本作ではプロデュースのみ)の名前と「主演がガエル・ガルシア・ベルナル君」
だというこの2つの情報だけで鑑賞を決定。ちなみに監督はアルフォンソ・キュアロン氏の息子ホナス・キュアロン氏
ガエル君久し振りにスクリーンで観たぁ~♪最近短館映画館チェックしなくなっちゃってなかなかお目に掛かれなくて~(薄涙)

あらすじ…って、書くまでもないんだけど。ガエル君含む10数名のメキシコ人がアメリカに密入国しようとしているんだけど、乗っていたトラックが故障してしまい
国境周辺の砂漠地帯を1日半程度歩いて越えなければ行けなくなってしまった。ところが砂漠を歩いていると何者かに突然狙撃されて次から次へと殺されていく。
キチ○イアメ公がバディの猟犬(めっちゃ賢い!)と共に密入国するメキシコ人狩りをしていたのだ。必死で逃げるガエル君達vsキチアメ公の行方は…!

メキシコとの国境に万里の長城よろしく塀を建てる!と公約して当選したトランプ氏が本当に就任直後から工事に着手して話題になりましたけど
本作はトランプ氏の選挙騒動よりももっとずっと前に企画・制作されていたようで、たまたま日本に入って来たのがこのタイミングだったというだけのようでw
作りはそれこそ大昔のスピルバーグの出世作「激突!」に似ていて、理由や説明等が一切なくただただキチなアメ公が密入国者を1人残らず殺そうとする姿を
描いている。もっとも「激突!」の方はトレーラーの運転手の姿を一切出さなかったけど、本作では最初っからアメ公の様子を見せている所は違う。
恐ろしい殺戮者だけどバディのワンコに対してだけは唯一人間らしい情緒を見せているのも逆にサイコ感が増して空恐ろしい気持ちになる。^^;

一応ガエル君達メキシコ人側からのアプローチがメインではあるものの、何て言うか…自分は正直どちらにも肩入れ出来ずに観ていたなぁ~と。
彼らは決してキチ○イ野郎にただただ命を狙われる可哀想な仔羊ちゃん達という訳ではないですよね。そもそもが「密入国」しようとしているヤツらな訳で。
夜たき火しながらガエル君達の生い立ちというか事情を語り合うシーンはあるんですが、それにしてもやっぱ違法行為をしている事に変わりない。
勿論人殺しがいい訳ないんだけど、密入国が絶えずに実際密入国者によって治安悪化が止まらないアメ公側にしてみれば「ヌッ殺してやりたい!」位の気持ちに
なっていたっておかしくはないよな~と。

「攻撃は最大の防御」という言葉よろしく本作もお約束通りの展開を見せて行きます。
まあ、後は単純にハラハラドキドキを楽しんで!みたいな話ですから…本作はたまたま「メキシコ違法移民問題」という、トランプ政権下のタイムリーなネタと
被ってしまったので無駄に裏読みしたくなってしまいますが、根本的には「脳味噌カラッポにして楽しむ鬼ごっこエンターテイメント」という体ですからw
猟犬のワンコがめっちゃくちゃ芸達者なんですわ!オヤジが犬笛鳴らすと「ピキューン☆」って顔して動き出すんだ。いいなぁ可愛いなぁ♪
コメント
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