天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】美しい星@試写会【16作目】

2017年05月19日 | 映画感想
「美しい星」

三島由紀夫氏の長編同名タイトル小説の映画化。三島由紀夫にしては珍しいSF色の強い作品だそーで。
コレを「桐島、部活やめるってよ」で一気にメジャーにのし上がった吉田大八監督が30年来熱望した末、ようやく自らメガホンを取ったそーで。
原作は三島由紀夫だけど本作はそれを大胆に脚色して色々設定をこねくり回して完全な現代劇に改変したそーです。
今回、友達が試写会当たったけど見に行けないからドゾー♪と言って試写状譲って貰えてタナボタで観に行けましたー♪E嬢ベリベリサンクス!

あらすじ…
当たらないと評判の気象予報士・大杉重一郎はある日「空飛ぶ円盤」と遭遇した事がきっかけで、自分は実は火星人で自分は危機的状況にある
地球と人類を救う事が使命なのだ!と覚醒する。時同じくして息子の一雄は水星人、娘の暁子は金星人だとそれぞれ覚醒し、各々違うアプローチで
自分の使命を果たそうと動き出す。唯一マルチ商法でミネラルウォーターの販売を始めた妻の伊余子だけは覚醒せずに地球人のままでいて
家族の変化に戸惑うのだが…

先ずね、むかしむかしの大昔「自称・文学少女」だった自分は三島作品も多少は読み齧っているんですが。
残念ながら本作の原作小説は読んだ記憶がありません。つーか、こんなキテレツな話を読んだ記憶は全くないから絶対に読んでないっ!^^;
一応「金閣寺」とか「宴のあと」とか「仮面の告白」とか有名ドコロはサラッと押さえてたんだけど…因みに自分の一番好きな三島作品は
「永すぎた春」という話です。三島由紀夫ってこんなお気楽で太平楽な恋愛モノも書いてたんだぁー!という衝撃がありましたね。読み易い話です♪

あ、いきなり脱線した!
という訳で、ある日リリー・フランキー氏演じる「大杉重一郎」以下、大杉家の皆さんが時同じくして「自分は地球外生命体だったのだ!」と
覚醒してそれぞれが地球の為に身をやつす姿を滑稽に見せる、というゆる~い話。
しかも冗談なんだか本気なんだかもよく分からない微妙な塩梅。いや、大杉家の皆さんは大真面目に「宇宙人」しているんだけど
普通に考えて第三者からは「お前らアホか?」としか見えない訳で、それがお気の毒な程滑稽に映る、というお話。
大杉家の家族それぞれのエピソードをランダムに少しずつ見せて行くんだよね。まあ一番インパクトがあるのは当然リリー・フランキーさんなので
彼のエピソードが一番長尺になる訳ですが…それにしてもそれぞれの家族のエピソードがだら~っと続くのは正直ちょっとダレる。^^;
一応ね、主張してる事は至極真っ当で。特におとーさんのリリー・フランキーさんは「環境破壊を今直ぐ止めないと地球が汚染されてダメになってしまう!」
という事を毎日毎日自分が担当しているニュース番組の天気予報コーナーで力説したりするんだけど…「あのポーズ」がマヌケ過ぎていい話が全部
頭から抜けて行くわチクショー(笑)

タイトル通り「美しい星=地球」を守ろうとする気持ちに対するアプローチを色んな方向からするお話。
多分亀梨君ファンのジャニヲタちゃん達は亀ちゃんがキメ顔で「ドヤァ~」ってスクリーンに映るだけで「うきゃー♪」って満足しちゃうのかな?
でも彼のエピソードは結構含蓄深いと言うかね…佐々木蔵之介さんが演じた議員秘書の「黒木」の存在感と言うか彼のセリフは身につまされましたね。
この美しい星を守ろうと本気で思った時に、地球にとって何が一番不必要な存在なんだろう?何が一番地球汚染に加担している存在なんだろう?
…って考えたら、「で・す・よ・ね~!」としか言いようがない、と言うかね(薄笑)

最後までゆる~く、コレはリアルなのか妄想なのか?訳も分からずシュールに話は収束して行くんですが…
昭和30~40年代に…かつて日本で「戦後」と言われた時代に三島由紀夫は未来の日本ドコロか未来の地球に思いを馳せていたんだと…そう思うと感慨深い。
あ、いけない、コレは「三島作品」に対する感想になっちゃうじゃないか!映画はあくまでも現代劇になっているんだからそこを評価しないと…^^;
でもね、きっと監督さんの技量なんだと思うけど、三島由紀夫が作中で描いた「美しい星」に対するテーゼを現代劇に置き換えた事で逆に今の私達に
分かり易く提示したんじゃないかな?って。

んーと…分かり易いんだか分かり難いんだかすら謎な感じなんだけど…何がしか自分の中に「このままじゃーいけない!」という気持ちにさせてくれる
パワーを持った作品でした。まーでもね…試写会で観れてラッキーだったかな。劇場公開でガチ鑑賞したら「なんだコリャー!」位は吠えてたかも(苦笑
コメント
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