天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】スプリット【15作目】

2017年05月16日 | 映画感想
「スプリット」

M・ナイト・シャマラン監督最新作。
もう今更書きたくないけど、みんなシャマラン監督だからって「どんでんオチ」期待するの禁止ねー!^^;
彼は普通~にホラー・スリラーモノを撮らせたら本当にいい絵を撮る監督さんだと思ってます。私は割と好きな監督さんです。
そして今作はなんと自分のお気に入り俳優「ジェームズ・マカヴォイ君」が多重人格者役を演じていると言うではないか!こんなの観ない訳にはいかないぞ!!

ってんでー、あらすじ…
クレアの誕生パーティーに参加したクラスメイトのケイシーとマルシアはマルシアの父親の車で家まで送って貰おうと3人で車に乗り込むが、何故か父親ではなく
見知らぬ男が車に乗り込んで来てそのまま拉致監禁されてしまう。気を失っていた3人が目覚めると何処か分からない地下室のような場所に居た。
男を出し抜いて脱出しようと提案するクレアやマルシアと違い、子供の頃に父親から狩りの基本をレクチャーされていたケイシーはまず敵の様子を慎重に探っていると
男は見掛ける度にまるで別人のように口調や仕草がコロコロと変わる事に気付いた。男はなんと23人もの人格を持つ「解離性同一性障害(多重人格者)」だったのだ。

とりあえずシャマラン作品レビューは「オチに触れるな」が鉄則なんだけど、自分基本思い付きでポンポン書いちゃうタイプなので…以下、オチバレの危険性大です。
本作未見でこれから楽しみたい方、オチに関わる情報は絶対に知りたくない方は以下スルーでお願いします!

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さーて、一応なるべくガチのオチバレはしないように気を付けるつもりではいますが…

まず予告編を見た段階で多少本を読む人だったら大抵は「え?コレって【24人のビリー・ミリガン】の映画化?」って思うでしょうよ。
すくなくとも「23人の人格を持つ」設定はビリー・ミリガンを彷彿させようとした意図があったのでは?と思わずにいられない(その後の展開を考えても)
劇中でも多重人格の脳内活動について「真ん中に【照明(スポット)】があって、そこに立った人がその場の人格を司る。他の人格はスポットの周囲を
椅子で囲っていてその椅子に座っている」というような説明があるんですが、これはそのままビリー・ミリガンの小説内の多重人格の脳内設定に沿っている。
…もっとも、ビリー・ミリガンは小説化されたけれどフィクションではなく実在した人物で、著者のダニエル・キイス氏がビリー・ミリガン本人と何度となく
面接を繰り返して本人から聞き出した事を書いているから、実際の多重人格者が全員こういう状態なのかはともかく、少なくともこういう脳内状態に
なっている多重人格者は存在する(リアリティのある設定である)という事なんでしょう。

実在したビリー・ミリガンは社会復帰する為に治療を重ねた結果、24番目の人格「教師」が誕生したのですが、本作では…という所がキモなんでしょうw
まあ、でも映画中では23人の人格全てが登場する訳でなくいいとこ4~5人だったので、最初から設定を5人程度の多重人格にした方がビリー・ミリガンを
知らない人にとっては受け容れ易かったんじゃないの?と思わずにはいられませんが。

話は3人の女子高生が多重人格者に拉致られてからの事と並行して、3人の中で唯一「クラスから浮いていて孤立していた女の子・ケイシー」の幼少期の
エピソードが語られていきます。このケイシーの幼少期のエピソードは後の多重人格者との関係にシンクロしていく作りになっていて重要なファクターです。
ケイシーを演じていた女の子、可愛くてお人形さんのような顔をしてるんだけど…どっかで見た顔なんだよなぁ~と思ってフィルモグラフィを調べたら
今年の1月にメキシコ行った際に機内上映で観た「モーガン プロトタイプL-9」(日本未公開・既にDVD発売済)という作品に出演していたカワイコちゃんでした。

多重人格者の主治医は聡明で﨟長けた女医で、彼女が解離性同一性障害についての講義をしているシーンで「解離性同一性障害者の人格入れ替えによる変容」について
語っている訳ですが、コレも実は後の展開の重要な伏線になっていたりして…彼女が「問題の24番目の人格」について何故疑問視したのか?というのが
ある意味本作のキモの1つでもあるんじゃないかと。

先に書いた「ビリー・ミリガン」の著書を読んでいる・または内容を知っている人にとっては「先読み出来る展開」なんですが、本作は敢えてその先読みの
裏をかくような展開になっていて…後々考えてみると「多重人格ネタ=ビリー・ミリガン」って世界中で広く知れ渡っているから、敢えてビリー・ミリガンを
彷彿とさせるような設定にしておいて(23人の多重人格)その後の展開で裏をかこうとした、というあざといやり方か?とまで勘繰りたくなるというね(苦笑)
それが成功していたのかどうかはさておき(個人的には余り愉快な展開ではなかったけど、まあコレもアリか?という所でしょうかw)
最後の最後で…まあ、シャマラン監督ファンにはお馴染みのあの作品のあの方がシレッと登場した挙句、ラストテロップの最後にダメ押しの広告入りとは^^;
いやはや、恐れ入りましたわ。まさか過去作品とシンクロさせて続編作る気だったとはネw
アレか?「ホラー界のアベンジャーズ」でも狙うつもりか?(コラコラ

まー本作、モヤッとする部分も多々あるものの、一定の満足感は充分得られる作りだったと思いますよ。結構クライマックスもグロかったし(ひー
でもコレねー、単に多重人格者を実に上手く演じ分けたジェームズ・マカヴォイ君の怪演の功績が大きいですよ。
「X-MENシリーズ」ではあんなにイケメンで萌え萌えだったのに…本作余りにも役作りが凄過ぎてプリプリ感ほぼなし(薄涙)
でも役者魂を見せられた一作でした…あ、シャマラン監督も相変わらずつまんない役でカメオ出演してますが、皆で盛大にスルーしましょうそうしましょうw
コメント
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