「悪なき殺人」
2019年第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀女優賞と観客賞をダブル受賞した作品。コロナ禍で一般公開が遅れたという事かな?
因みに東京国際映画祭の時は「動物だけが知っている(仮題)」というタイトルで上映されたそうです。
元ネタはコラン・ニエル氏著のミステリー小説らしい。(原題:Seules les betes)
あらすじ
フランス。山間にある人里離れた町で、吹雪の夜に一人の女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)が失踪し、何者かに殺されて見つかる。農夫のジョゼフ(ダミアン・ボナール)、彼と不倫しているアリス(ロール・カラミー)、その夫であるミシェル(ドゥニ・メノーシェ)が疑われるが、彼らはある偶然の出来事で事件とつながっていたのだった。事件はアフリカのコートジボワールにまでつながっていき、やがて思わぬ方向に向かう。(Yahoo!Movieから丸パク)
フランスの田舎で起こった女性失踪事件について、一見全く関係なさそーな人物達の様子が描かれているんだけど実は絶妙~に失踪事件に絡んでいる。
話は4人の登場人物の視点で章立てられており、第一章:アリス、第二章:ジョセフ、第三章:マリオン、第四章:アマンディーヌ、という順番でこの事件にそれぞれの人物がどう関わっているのかが彼ら・彼女らの視点越しに観客も見て行く形になっています。
まあ当然ですが最初の方は何が起こってるのか今一つ分からないんだけど章が進んで行く内に段々事件の核心に触れて行く…という感じ。
更に言うと面白い事に本件の登場人物が少しずつこの事件に絡んで繋がっていて、何故かアフリカのコートジボワールにまで飛び火したかと思うと最終的にぐるっと一周して輪になって繋がるという物凄いトリッキーな展開になっていました。これは多分原作小説のプロットがよっぽど練られていたんだろうと推察。
それにしてもね、何と言うか…とりあえず本作に登場する人物全員呆れ返る程自己チューw
まあ簡単に言えば「己の欲望に忠実」という事なんだろうけど、それにしてもどいつもこいつもコレはどーなの!?レベルですわな(苦笑)
そして本作の訴えたい「真理」を割と話の序盤でサクッとある人物が語っています。多分コレはネタバレではない気がするので敢えて発表しちゃいますがw
「愛とはなんぞや」という問題に対してその人物は「愛とは【ないもの】を与える事」と言っています。
ないもの、とは「見えない物」であったり「形のない物」であったり「誰にも答えられない物」であったり、その時その場所その時の立場によって解釈は変わるだろうと。
ただ、本作の登場人物は全員漏れなく「ないもの」を欲していた人達だったのだろうと思います。
どの登場人物も「うぅ~ん(←ナニコレw)」ってキャラばっかりなんだけど、個人的に一番理解不能だったのはアリスの不倫相手「ジョセフ」だなー。
ジョセフは半年くらい前?に母親を亡くしていて(母一人子一人の2人で生活していた)情緒不安定らしいんですが、彼は見つけた女性の遺体に母親を重ねたようで通報しないで遺体を隠すとひっそり遺体に寄り添って添い寝したり遺体の傍で生活したりしている。お巡りさーんココに変態がいます!^^;
実際ジョセフは母親を亡くした時も警察も呼ばず病院に連絡するでもなく(自宅で亡くなったらしい)そのまま自宅のベッドに寝かせたままで放置し、腐乱した事でどうやら母親が死んだ事が周囲にバレたらしい、という経緯が語られています。お巡りさーんやっぱりココに変態がry
最高キモいんだけどw切ない話だなーと思ったのは「アマンディーヌ」のパート。
そもそも「アマンディーヌ」というのはコートジボワールでネット詐欺を企んだ男がテキトーなおねーちゃんの画像や動画を使ってアイコンにしていわゆる「出会い系サイト」に登録して男を引っ掛けようとして付けた「源氏名」で、その詐欺に引っ掛かったのがアリスの夫・ミシェル(中年の冴えないデブ)
親が死んで葬儀に行くのに飛行機代がなくて行けないのー!1000ユーロ都合して欲しいのー!で振り込む男ってそんなにいるもん?自分もやってみたくなったわ(コラ
それにしてもさ、たかだか1000ユーロ(13万円程度か?)であんだけ豪遊出来ちゃうって…コートジボワールの物価どーなってんだよマジで!(滝汗)
あ、脱線しましたがまあなんやかやで詐欺がバレでミシェルも今まで散々貢いだ「アマンディーヌ」ちゃんは実は貧乏な兄ちゃんだったのだと知ってブチ切れているんですが、その後の展開に本当に唖然としましたわ…でも、ミシェルが望んでいた「ないもの」を与えられた多好感を思うと何と人は悲しい生き物なのだろうと思わずにいられない。
最後、あの母子がフランスに着いた時に「あー!そっかーココに繋がってんのね。コレはもっと前の段階で気付いておくべきだったなーしてやられたー」とw
「ないもの」を巡る旅が最後に一周廻ってスタートラインに戻って来た事で話は綺麗に帰着する訳ですが…もうどーにも後味の悪い話ですわなー^^;
後味の悪い話なんですが、非常に良く出来た作品だと思います。後さ…この邦題なーセンス今一つないよな。タイトル見て是非観てみたい!って気持ちにならないもんねぇ
2019年第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀女優賞と観客賞をダブル受賞した作品。コロナ禍で一般公開が遅れたという事かな?
因みに東京国際映画祭の時は「動物だけが知っている(仮題)」というタイトルで上映されたそうです。
元ネタはコラン・ニエル氏著のミステリー小説らしい。(原題:Seules les betes)
あらすじ
フランス。山間にある人里離れた町で、吹雪の夜に一人の女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)が失踪し、何者かに殺されて見つかる。農夫のジョゼフ(ダミアン・ボナール)、彼と不倫しているアリス(ロール・カラミー)、その夫であるミシェル(ドゥニ・メノーシェ)が疑われるが、彼らはある偶然の出来事で事件とつながっていたのだった。事件はアフリカのコートジボワールにまでつながっていき、やがて思わぬ方向に向かう。(Yahoo!Movieから丸パク)
フランスの田舎で起こった女性失踪事件について、一見全く関係なさそーな人物達の様子が描かれているんだけど実は絶妙~に失踪事件に絡んでいる。
話は4人の登場人物の視点で章立てられており、第一章:アリス、第二章:ジョセフ、第三章:マリオン、第四章:アマンディーヌ、という順番でこの事件にそれぞれの人物がどう関わっているのかが彼ら・彼女らの視点越しに観客も見て行く形になっています。
まあ当然ですが最初の方は何が起こってるのか今一つ分からないんだけど章が進んで行く内に段々事件の核心に触れて行く…という感じ。
更に言うと面白い事に本件の登場人物が少しずつこの事件に絡んで繋がっていて、何故かアフリカのコートジボワールにまで飛び火したかと思うと最終的にぐるっと一周して輪になって繋がるという物凄いトリッキーな展開になっていました。これは多分原作小説のプロットがよっぽど練られていたんだろうと推察。
それにしてもね、何と言うか…とりあえず本作に登場する人物全員呆れ返る程自己チューw
まあ簡単に言えば「己の欲望に忠実」という事なんだろうけど、それにしてもどいつもこいつもコレはどーなの!?レベルですわな(苦笑)
そして本作の訴えたい「真理」を割と話の序盤でサクッとある人物が語っています。多分コレはネタバレではない気がするので敢えて発表しちゃいますがw
「愛とはなんぞや」という問題に対してその人物は「愛とは【ないもの】を与える事」と言っています。
ないもの、とは「見えない物」であったり「形のない物」であったり「誰にも答えられない物」であったり、その時その場所その時の立場によって解釈は変わるだろうと。
ただ、本作の登場人物は全員漏れなく「ないもの」を欲していた人達だったのだろうと思います。
どの登場人物も「うぅ~ん(←ナニコレw)」ってキャラばっかりなんだけど、個人的に一番理解不能だったのはアリスの不倫相手「ジョセフ」だなー。
ジョセフは半年くらい前?に母親を亡くしていて(母一人子一人の2人で生活していた)情緒不安定らしいんですが、彼は見つけた女性の遺体に母親を重ねたようで通報しないで遺体を隠すとひっそり遺体に寄り添って添い寝したり遺体の傍で生活したりしている。お巡りさーんココに変態がいます!^^;
実際ジョセフは母親を亡くした時も警察も呼ばず病院に連絡するでもなく(自宅で亡くなったらしい)そのまま自宅のベッドに寝かせたままで放置し、腐乱した事でどうやら母親が死んだ事が周囲にバレたらしい、という経緯が語られています。お巡りさーんやっぱりココに変態がry
最高キモいんだけどw切ない話だなーと思ったのは「アマンディーヌ」のパート。
そもそも「アマンディーヌ」というのはコートジボワールでネット詐欺を企んだ男がテキトーなおねーちゃんの画像や動画を使ってアイコンにしていわゆる「出会い系サイト」に登録して男を引っ掛けようとして付けた「源氏名」で、その詐欺に引っ掛かったのがアリスの夫・ミシェル(中年の冴えないデブ)
親が死んで葬儀に行くのに飛行機代がなくて行けないのー!1000ユーロ都合して欲しいのー!で振り込む男ってそんなにいるもん?自分もやってみたくなったわ(コラ
それにしてもさ、たかだか1000ユーロ(13万円程度か?)であんだけ豪遊出来ちゃうって…コートジボワールの物価どーなってんだよマジで!(滝汗)
あ、脱線しましたがまあなんやかやで詐欺がバレでミシェルも今まで散々貢いだ「アマンディーヌ」ちゃんは実は貧乏な兄ちゃんだったのだと知ってブチ切れているんですが、その後の展開に本当に唖然としましたわ…でも、ミシェルが望んでいた「ないもの」を与えられた多好感を思うと何と人は悲しい生き物なのだろうと思わずにいられない。
最後、あの母子がフランスに着いた時に「あー!そっかーココに繋がってんのね。コレはもっと前の段階で気付いておくべきだったなーしてやられたー」とw
「ないもの」を巡る旅が最後に一周廻ってスタートラインに戻って来た事で話は綺麗に帰着する訳ですが…もうどーにも後味の悪い話ですわなー^^;
後味の悪い話なんですが、非常に良く出来た作品だと思います。後さ…この邦題なーセンス今一つないよな。タイトル見て是非観てみたい!って気持ちにならないもんねぇ