天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「コーダ あいのうた」試写会@5作目

2022年01月14日 | 映画感想
「コーダ あいのうた」

ぷち久し振りに試写会当たりましたー✨
本作は2014年制作のフランス映画「エール!」のリメイクだそうですが元ネタ未見、つーかそんな作品が世の中にあった事すら知らんかったすまん^^;
でもリメイクである本作自体も非常に評価が高く、サンダンス映画祭では観客賞含める4冠を達成したんだそーです。

あらすじ
とある海辺の町。耳の不自由な家族の中で唯一耳が聞こえる女子高生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、幼少期からさまざまな場面で家族のコミュニケーションを手助けし、家業の漁業も毎日手伝っていた。新学期、彼女はひそかに憧れる同級生のマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と同じ合唱クラブに入り、顧問の教師から歌の才能を見いだされる。名門音楽大学の受験を勧められるルビーだったが、彼女の歌声が聞こえない両親から反対されてしまう。ルビーは夢を追うよりも家族を支えることを決めるが、あるとき父が思いがけず娘の才能に気付く。(Yahoo!Movieから丸パク)

出演してる役者さん1人も知らんかったな…ま、サンダンス映画祭だし制作PATHEだし配給GAGA☆だしな要するに単館上映系って事だろ(コラコラ
フィルモグラフィ調べたら皆さん基本TV番組に多く出演している役者さんのようで。自分ケーブルテレビとか観ないからほぼ接触なかったんだなー。
そして、本作がスゴイのは主人公ファミリーを演じた役者さん3人(父・母・兄)が全員本当に聾唖の役者さんが演じているという事。
でも一番大変だったのは間違いなく主人公ルビーを演じたエミリア嬢よな。彼女は家族の中で唯一の健常者だから台詞言いながら手話も完璧にこなさなきゃいけない訳で。

まあそんな訳で、上のあらすじを読んで更に予告編観ると「健気な主人公女子が家族に搾取されまくってて、でも夢に向かって頑張るお涙頂戴感動モノな」って誰もが想像すると思うのですが(勿論自分もそう思って鑑賞したんですが)、蓋を開けてみるとちょーっと雰囲気が違うんだな。
確かに内容はその通りなんだけど、なんて言うのか…こうジットリと湿っぽいお涙頂戴モノというカラーではなく、もっとあっけらかんとしていて明るくて楽しいんですよ。
先ず主人公ファミリーがルビー以外全員聾唖なんだけど物凄くHAPPYオーラが出まくっていて全然悲観的じゃない。オトンとオカンの夫婦仲は良好を通り越してドスケベ街道ばく進してるしw、兄ちゃんは漁師だけあってマッチョでなかなかスタイル良好な為ルビーの友達からガチで身体を狙われている^^;
この兄ちゃんが個人的に凄く好き。口が悪くてぶっきらぼうなんだけど妹の事を凄く愛しているのがよく分かる。自分達が聾唖だから妹1人に負担を強いている事をちゃんと分かっていて、彼女が自分の人生を謳歌するのに家族が足を引っ張るような事はしてはいけないと厳しく律している。言い方は「お前なんかあっち行け!」だけどそれは「俺達家族の犠牲になってはいけない。ちゃんと自分の幸せを掴みに行け」の裏返しなんです。この兄ちゃんにはジーンと来ます。

聾唖だからこその苦労エピソードが細かく入っているんですが、それと同時に「家族の中で唯一の健常者」という立ち位置のルビーの苦労も繊細に描いていました。
耳が聞こえるのがルビーしかいないから必然的に物心付いた頃からずっと家族の通訳を任されていて、彼女なしに家族の社会生活は成立しない状態になっている訳で。それが思春期を迎えて恋もして自分の将来のことも初めて考えるようになって、それで初めて彼女自身が家族の重圧に喘ぎ始めているんですよね。
母親はそんなルビーの事を「BABY」と呼び、それを父親が「あの子は赤ちゃんなんかじゃない」と言い、「いやまだ赤ん坊みたいなモノよ!」と夫婦でちょっと口論になるシーンがあるんだけど、父親がその時に「あの子は大人だ。ずっと前から大人だった」って伏し目がちにつぶやくんですね。
いつまでも愛する娘を手元に留め置いておきたい母心、それに対して父親はもっと客観的視点で…ルビーが家族の為に子供の頃から苦労していて一足飛びに精神的に大人に成らざるを得なかった事情を忸怩たる思いで受け止めていて、親としてどうすればいいのか迷走している様子がよく伝わるエピソードだなと思いましたね。
先の兄ちゃんのエピもそうだけど「女(母性)の視点」と「男(父性)の視点」の違いが如実に出ているというのか。

で、一番ハートのど真ん中にズガーン☆と来たのはやっぱコンサートのシーン。
突然「父親の世界」が展開されて、コレは本当に秀逸な演出だったなぁーと思いました。父親(聾唖者)目線だとこのシーンはこうなっていたのかと。ナルホド…
音のない世界に生きている人に「歌が人に感動を与える」という事がどう伝わるのか、どう受け止めるのかが体感出来る素晴らしいシーンだったなぁと思います。

チョイチョイ下ネタぶっ込んで来たりしてずっコケるんですがw、メインキャラみんないい人で本当に気持ちがいいんですよ。
ルビーファミリーだけでなく、彼氏のマイルズも(どうやらえーとこのボンボンらしく親が過干渉で若干愛に飢えてる系)、それからキャラ濃い系の音楽の先生も、みんな明るくて観ていて気持ちのいい人達ばかりで、そんな人達が頑張ってる姿見て嫌な気分になる人なんている訳がない!
確かに感動系のお話なんだけど、「クライマックスは涙が止まらなくて…」というよりも「笑顔で手を振って応援してあげたい」みたいな爽快感のあるお話でしたね。
劇中で使用されている楽曲のチョイスも秀逸でしたし(演者の歌が上手いのは今更言うに及ばず)、老若男女誰もがいい気分になれる作品です。
コメント
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