天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「クライ・マッチョ」@6作目

2022年01月19日 | 映画感想
「クライ・マッチョ」

N・リチャード・ナッシュ著の同名タイトル小説の実写映画化+クリント・イーストウッド監督最新作。
クリント爺様をwikiったら御年なんと91歳ですって!撮影時でも89~90歳辺りかな?それにしてもこの方何歳まで現役で頑張るんだろう…スゴイよなマジで。

あらすじ
ロデオ界の元スターのマイク・ミロ(クリント・イーストウッド)は、落馬事故をきっかけに家族とも別れ、今は競走馬の種付けの仕事をしながら一人で暮らしている。ある日、彼は元雇用主にメキシコにいる息子のラフォ(エドゥアルド・ミネット)を誘拐するよう頼まれ、単身メキシコに向かう。マイクは少年ラフォと出会い、二人でテキサスを目指すが、その道のりは困難なものだった。(Yahoo!Movieから丸パク)

とりあえずいきなりネタバレしてしまいますが…主役は鶏です!

まあ、コレはネタじゃなくて割とガチw
そもそもがタイトルの「マッチョ」ってのはラファエル(通称ラフォ)少年が大切に育てている相棒の闘鶏の名前でして。
鶏が鳴く事を通常「Cry」は使わない、正しくは「Sing」か「Tweet」辺りを充てるんじゃないかと思うんですがタイトルとしてインパクトがないからCryなのかな?
このマッチョ君が話の重要な場面でいつも絶妙なタイミングで活躍してくれます。これはもう鳥好きさん大歓喜作品と言えるでしょう!😊

本作は↑あらすじ通り、今は落ちぶれたかつてのロデオスター爺さん×愛に飢えた思春期少年の凸凹コンビによるロードムービー人情物語。
近年特に感じますがクリントの演出が何と言うか…よく言えば「極力削ぎ落とした繊細な演出」、サラッと言ってしまうと「地味な作り」(ヲイヲイ
コレは好き・嫌いが割とはっきり出て来ると思いますが、自分が今の年齢で観ていると割と心地良く感じられるんですわね。コレ多分今自分が10代~20代とかだったら「意味わかんねークソつまんねー」とか吠え散らかしているような気がしなくもない。

話の展開がところどころご都合主義過ぎる嫌いがあるのは否めない。
そもそもメキシコで暮らしている依頼主の元嫁(毒親)は息子のラフォに関して「手の付けられないモンスター問題児」という説明をマイクにしているんですが、実際にラフォに逢いに行ってみて「お前のとーちゃんが心配してるよ!会いたがってるから一緒にテキサスに行こうぜ!」って話をするとブータレながらも割とすんなり着いて来る。
更にいざラフォを連れて行こうとしたら元嫁がブチ切れて恫喝されて、それでマイクもサクッと諦めて帰り始めて(マジかw)、いざ帰ろうとしたら自分の車の後部座席にこっそりラフォがマッチョ連れて乗り込んでた事に気付いて今度はラフォを車から引きずり下ろして道端に捨てて行こうとしてる…いやそこはそのまま連れていけばええやん^^;
その後も元嫁の放った追手と何度か接近遭遇したり連邦警察の検問に出くわしたり車泥棒に遭ったりと地味なピンチが訪れますが、その度に物凄くご都合良くマッチョが大立ち回りしてくれたり食堂を切り盛りしてる未亡人が助けてくれたりして難を逃れていく。

そう!驚くべきはクリント爺様がシレッと「イケてるオジ様」として振る舞っているという事!だから91歳なんだぜ?^^;
まあ実際彼はパッと見そこまでお歳をを召されているようにはとても見えない訳ですが、でも90代からね!19じゃないよ90だよ(しつこいw)
本来このマイクという主人公はいいとこ60代後半~70代前半位の年齢設定が妥当なんじゃないかと思うんですが、それを90代のクリントが何のてらいもなく極当たり前のような顔でメヒコ未亡人(これまたかなり積極的且つ情熱的なオバサマ)との恋のパ・ド・ドゥを楽しむ様子を描いているのです!なんか…色々凄過ぎるw
自分は凄く意地悪な性格をしているので…クリント爺様がコップを持つシーン等でずっと手元を見つめてしまいました。歳を取ると手が小刻みに震えるじゃないですか。御年90歳(撮影時)に成ろうかというご老体のクリント爺様だったらコップの水が零れるレベルに手元が震えていてもおかしくはない…と思って。
それがね、全く震えていませんでしたね。何度か手元が映るシーンがあったので本当に手元ばっかり見てたんですが(お前も相当意地悪過ぎるだろw)ビクともしてなくて驚きました。アレは何か特別な訓練でもしてるんだろうか?それとも世の中の手元震えてる老人が余りにも自分ケアを怠り過ぎているという事なんでしょうか???

そんな訳で脅威の身体能力をスクリーンで晒しまくるクリント爺様、少年を将来のロデオスターにするべく指導をしていく内にどんどん自分も気力を付けて若返ります。
なんなんだろうホントに。とりあえず押しつけがましく観客に啓蒙して来る事はありませんが(先に書きましたが非常に地味な演出ですし)、でも淡々と繰り広げられていくエピソードを観ていると、なんとなくフンワリとクリント爺様に「誰だってね、何歳からでも人生巻き返せるからね!」って肩をポンポンされてる気になるんですね。
この感覚はきっと若者には理解出来ないんじゃないかと思いますよ。そろそろ老後を真剣に考えなきゃなーと思う自分だからこそ響いたんじゃないかと思いますわ。

という訳で、学生さんや気力溢れる青年の皆様には強く勧めませんが、自分と同世代辺りの方だったら本作に何かしら感じ入るモノがあるのではないでしょうか^^
コメント
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