天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2023】「君たちはどう生きるか」@39作目

2023年07月14日 | 映画感想
「君たちはどう生きるか」

スタジオジブリ最新作。そして「コレで引退詐欺中」の宮崎駿氏の脚本・監督のオリジナル作品。タイトルは吉野源三郎氏著の小説のタイトルをそのまま使っているけれどこの本の内容が映画化されている訳ではなく、劇中でこの小説が登場するシーンはあるものの映画の内容とはリンクしていませんのでお間違えのないようにネ。

あらすじ
主人公は牧眞人(まき・まひと)という少年。太平洋戦争中の1944年、病院の火災で母親が死亡し、一家は父親の戦闘機工場とともに郊外に疎開する。眞人は父の再婚相手となった新生児を身ごもった母の妹を新しい母親として受け入れられず、転校先の学校でも孤立していた。ある日、眞人は疎開先の屋敷で「君たちはどう生きるか」というタイトルの一冊の本を見つける。
疎開先の屋敷の庭の林の中に、廃墟となった洋館が建っていた。その家は眞人の "大叔父"でもあった伝説の男が建てたものであった。そして「母があなたを待っている。死んでなんかいませんぜ」と、人間の言葉を話すアオサギが目の前に現れ、眞人は洋館の中へと導かれていく(Wikipediaから丸パク)

珍しくYahoo!Movieの方が「あらすじ準備中」になっていたのでWikiのあらすじパクりました。本作は本日の劇場公開まで徹底的に情報を出さず宣伝もプロモーションも何もしない状態だったのでYahoo!の中の人も内容を知り得なかったという事なんでしょうなぁ。鈴木さんも意地の悪い事するなー全く💦
という訳で、自分も今日が公開日だと知らなくて(滝汗)、「今日は何か面白そうな映画公開になってないかな?」と思って映画館のタイムスケジュール見て「んん!?こ、これは…」と気付いた次第ですよ。もーちょっとで見逃すトコロじゃないか全くぅー。

さて、内容なんですが…舞台は戦争末期、映画冒頭火事があり(空襲か?)母親が入院している病院が焼け落ちて母親が亡くなってしまいます。その後父親と2人で田舎に疎開するんだけどその田舎ってのが亡き母親の実家で、そこには母親に瓜二つの叔母が居てどうやら父親と叔母が再婚するらしいと。更には既に叔母は父の子供を身籠もっている状態であると告げられる訳です。まー昔はよくあった話らしいですが(母親が亡くなると母親の姉妹が後家に入るパターン)それにしても既にご懐妊中とはこれ如何にw

結構エグい感じに話が始まって行くんですが、田舎に着いてから何やら意味ありげにカットインしまくるアオサギが…しゃべくりまくるといういきなりなファンタジー展開!
で、この後怒濤のファンタジースペクタクル冒険活劇に突入していくんですが…見ていて自分の中で整合性が取れないと言うのか意味が分かんないというのかよく理解出来なかった部分が結構あって、コレはコレで「何でもアリですから」で流せばいいのかそれとも深く考察するべきなのか(深く考察して理解出来るのか?)悩ましいトコロ。

 ※以降、映画の内容に深く関わる記述満載ですので未見の方はスルー推奨します

先ず「え?なんで?」と思ったのが…何故眞人は自傷したのか。父親も家の使用人のバーサン達も学校のクソガキにやられたと勘違いしている訳ですが、勘違いさせるのが目的で自傷したなら「ガキにやられた」と言えばまだ分かるが、何故か眞人は「自分で転んでだけだ」と何度も言い張っている。なんでそんなウソつく必要があるのか?
それからナツコさんがアッチの世界に行った理由が全く分からなかった。本作色々と説明不足な部分が多くて、まあ説教臭くなっちゃうから事細かに説明されるのもどうかとは思うものの、それにしても余りにも情報が少な過ぎて理解が追い着かないというのかな。

アッチの世界の事を「地獄」と表現しているシーンがあったけど、死後の世界という訳でもなさそうな感じがする。
かつて眞人の母親がまだ子供時代に1年間程神隠しにあって行方不明になっていたものの、1年後にひょっこり家に戻ってきたというエピソードが語られている。その際に失踪中の出来事を全てすっかり忘れていたという事で…それがアッチの世界にいた彼女だったのだというのは直ぐに紐付けられたものの、何故眞人はキリコがあのバーサンだと直ぐに分かったのか?衣装が同じだったからとか?えぇ…って感じでコレも意味が分からんかった。最後に帰る扉が「眞人×ナツコ」「ヒミ×キリコ」の組み合わせだったから、要するにかつて眞人の母親が神隠しに遭った時に若かりし頃のキリコも一緒に失踪していた、という解釈でいいのかな?そーだよねきっと。

インコの王と大叔父とのやりとりからの眞人を後継者にしたい云々のくだりも色々とモヤる。
そもそもがあの世界は大叔父が構築した世界だと考えていいという事?なんだよねきっと。だったら何故ペリカンやインコが人を食らう世界観になっているのか?も謎。邪悪ではない石を組み合わせてバランスを取る事で世界の均衡を保っている?みたいな感じなんだけど、だったら何故インコの王はバランス石を崩してしまうのか?自分達の世界を自ら壊す理由がよく分からなかった。

ただ、眞人は最初ナツコを新しい家族として受け入れるのに躊躇している様子だったものの、アッチの世界までわざわざナツコを探しに行っているし周囲に反対されてもそれでもナツコの元まで行っているトコロを見ると、何処かでナツコを母と重ねて受け入れたい、という願望があったのか。最終的に「ナツコ母さん」と呼ぶ事で昇華していった?
眞人という子供が何を考えているのか映画冒頭からずぅーっと分からなかったんだけど、この大冒険の果てに少なくともナツコとの絆は出来上がっているように見えたし彼自身も少し大人になって嫌な事から逃げたりウソや誤魔化しではいけないのだ、という事は身に沁みた様子に見えた。

今までのジブリ作品のオマージュっぽいシーンも多々あって、ジブリファンなら「よー意味分からんけど絵もアニメーションもめちゃ綺麗だし駿の集大成と言われたらまあ納得だなぁ」位には思える作品だと思う。この時代を舞台にしたのも駿氏の幼少期の思い出やご自身の心の内の部分を一番投影しやすい時代だったんだろうと思われ。
という訳で、駿氏の内省的な事をアニメーションでパフォーマンスしていると思われるのでややとっ散らかって辻褄が合わないとかイミフな部分多めですが、まあそれもジブリらしいとか駿氏らしいと思えられれば…って感じですかね。少なくとも絵と動きとキムタクのアフレコは良かったですよ。子供にはちと難しいかもねー大人にもねーw
コメント
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