天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「パラサイト 半地下の家族」@2本目

2020年01月14日 | 映画感想
「パラサイト 半地下の家族」

ポン・ジュノ監督最新作で第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞作。
そんでもって先頃発表になった本年度の米アカデミー賞の作品賞、監督賞他、主要6部門(多分…自分で数えたので間違ってたらすんまそん)にノミネートされました!
あーここんとこオスカー受賞予想やってないけど今回久し振りにやってみよーかなー^^
っと、脱線しちゃったな。あ、本作予告編で「ネタバレ厳禁」って謳ってるんですが…レビュー書くとモロバレではないにしろ微妙に色々バレてしまいますわね(滝汗)
という訳で、本作未見の方は以下スルー推奨します。読んで「知りたくなかったのにぃ!」とかいう難癖付けるの禁止な!^^;

あらすじ
半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れる。(Yahoo!Movieから丸パク)

まースゴイ話!
所謂「格差社会」をテーマにした話なんだけど、話の方向性が…日本人の発想ぢゃないよなぁ~!と思わされます。
そもそもなんだけど、先ず本作の冒頭のシーン見た日本人のほとんどが同じ事思いますよ。
「ここんちの間取り、根本的におかしいやろ!てかトイレ!トイレの位置!!」って絶対に思うからw
この家自体がギャグかよ!って思うんだけど…韓国の貧しいお宅って本当にこんなシャレにならん間取りのおうちが実在するんですかね?(滝汗)

で、主人公一家の長男ギウの幼馴染み?らしい割とアッパー層の友人が留学する事になって、それで彼がやってた家庭教師のバイトを引き継がないか?と話を持ちかけられる。
コレがきっかけで超ハイスペックファミリーに足掛かりが出来るんですね。
まあフツーなら「あら、割のいいバイトが見つかって良かったわね!」で終わる話なんですが、この話はここからがスゴイ。
先ず長女(プリプリJK)の家庭教師に収まったギウはこの家の長男(小学校低学年)の美術の家庭教師として自分の妹を推薦(当然赤の他人のフリで経歴思いっきり詐称)
更にはこの家の運転手にあらぬ疑惑を掛けてクビにさせると自分の父親を運転手に推薦(当然赤の他人のフリで経r…)
遂にはこの家に長年仕えてきた家政婦にもあらぬ疑惑を掛けてクビにさせると自分の母親を…w
と、まるっと一家総出で他人のフリしてこの家にちゃっかり入り込んで完全に寄生する訳です。

まあ、家を乗っ取るという訳じゃないんだし…とは思うものの、自分達が入れ替わる為に既に働いていた人達を陥れてる訳ですから観ていてモヤモヤしますわな。
そこに罪悪感はないのかよと。と言うかそもそもギウ自身が大学4回も受験失敗しててただのプータローなのにソウル大学の学生だと詐称して家庭教師になってるしなw
「バレなきゃウソついてもいい」的なメンタルがどーにもモヤる訳ですが、韓国の映画観てるとこのパターン結構多いですよね。

まあ、ここまではまだちょっとシニカルでブラックユーモアも交えて結構笑って見てられるんですが、この後この話はとんでもない方向にすっ飛んで行きますw
ここから先は書くとかなり重大なネタバレになってしまうのでNGなんですが…まあとにかく想像もしていなかった展開にクチあんぐり( ゚д゚)
まあちょっとだけ書いちゃうと…「世の中上には上がいる…いや、下には下がいるんだなぁ!」みたいなw

この話の重要なキーとして「臭い」があります。
金持ち一家のガキンチョ長男坊やが家政婦と運転手の臭いを嗅いで「同じ臭いがする。家庭教師も同じ臭いがする」と言う。
それは同じ洗剤、同じ柔軟剤を使っているから香る匂いではなく、「半地下住人の臭い」だというのが本作のキモ。

お金持ちファミリーの奥様は直ぐに人の話を鵜呑みにしてしまう絵に描いたようなお人好しだし、長女のJKはどこまでも素直で愛らしくのびのびと育っている。
この家に寄生しているキム一家は彼らを「お金持ちは優しい」と評する。お金に困らない生活をしているとおおらかで他人に優しく出来るだけの余力があるのだ。
自分が騙されているかもしれないなんて疑う事もないし妙にひねくれる必要すらない。キム一家のおかんは「私だってこの家に住んでたらもっと優しくなれるわ!」と言う。
その一方で、お金持ちは自分達目線でしか物を見た事がないから、自分の言った言葉や態度がナチュラルに貧乏人をDisってる事に気付かなかったりもする。
金持ち夫妻は夜伽話で(キム一家に聞かれているとも知らず)「運転手のキムさんはいい人だけど…なんか変な臭いがするよね」というネタで盛り上がる。
それは地下鉄の中で嗅ぐような臭い?いや埃のような?いやそれとも違うな…と、彼らの嗅いだ事のない不快な臭いについて語るシーンがある。
金持ち夫妻の語る「臭い」がキムさんには分からないのです。貧乏人の臭いは貧乏人自身にはどんな臭いなのか分かりようもない。
このシーンが後のある事件のトリガーになるのですが…これ以上はネタバレになるので(既にかなり書いちゃってますがw)

本作は格差社会の悲劇をブラックユーモアを織り交ぜて描いていますが、でも最終的に何処にも着地せずに終わっている…と私は感じました。
貧乏人だって努力していっぱい仕事してお金稼げば…金持ちになれる?なれませんよね?まずその「稼げる仕事」に貧乏人が就くチャンスが今の世の中にあるのですか?
チキン屋をやっても、台湾カステラのお店をやっても、結局借金が増えるだけ。貧乏人は貧乏人の世界をグルグルと回っていて、お金は天高く上の一部の人達の手から離れない。
なんとも切ないお話(そしてクライマックスはなかなかにホラーw)でした。日本人も他人事みたいに本作観てる場合じゃーないですわね。あー怖いコワイ^^;

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