「鍵屋」篇はこちら。今回は銀行篇。おそろしいことに登場人物がわたし以外全員異動になったのでご披露。
わたしが給与受領に行く銀行の支店長は変わった人で、
「これからは、そういう機会にみなさまとコミュニケーションをとることが大事だと考えまして……」
受領するわたしたち(近所にある二校しか受領しないんだけどね)を応接スペースに連れて行き(ほとんど拉致状態)行員たちと“お話をする”ことに。
まあ、とりとめのない世間話ならいくらでもできる性格なので(^_^;)、こちらも金融がどんなものかを知るいい機会になっている。いっしょに行く技能士はそういうことが苦手なので、絶対についてこないし、もう一校はオレが奥に入ったあたりを見はからって店に来やがる。ったく根性なしなのである。
事務室で相方が
「わたしね、思うんだけど○○銀行の窓口の人たちって大変だと思うの」
「どうしてですか?」
「ずーーーーーーっと立ちっぱなしでしょう?」
そうなのだ。この支店は、規模と顧客数のわりに、入出金などの窓口業務をわずか2名で行っている。それこそ立ちっぱなしで。
「それに、後ろの担当者たちだって、誰も座ってる人いないのよ」
そうなの。入出金や振り込み業務のセクションには、女性行員たちが5~6名ひかえているんだけど、彼女たちは大きなテーブルのまわりを動き回っていて、確かにすわっているのを見たことはない。
「不思議だわ。あの人たちに椅子はないのかしら」
「じゃあ、今度の給与受領のときにきいてみましょう」
「……ってことでさ、ここの人たちって立ちっぱなしじゃないか」
「ですよね」
給料日。新任の男性行員は、灰皿をすすめながら答えてくれる。そうなの、わたしが心穏やかに屋内でタバコを吸うのはこの機会しかないの。
「あれはですね……スタンディングってシステムなんですよ」
「そのまんまじゃないか(笑)」以下次号。